1~3月の動きを整理

 1月は、バイデン新政権への期待と、ワクチン接種開始への期待から、一段の株高となりました。ドルについては、経済回復の期待から米長期金利が上昇したため、株高が続く中でいち早く反転し、ドル高の動きとなりました。1月の安値102円台半ばから104円台後半へ上昇。米10年債利回りは、1月初めの0.9%台から1.0%台へ上昇。2月もその流れは続き、長期金利が1.6%台に乗せると、ドル/円も106円台後半へ上昇。3月に入ると、最初の1週間で約2円の円安となりました。

 米国の1.9兆ドルの追加経済対策への期待と、長期金利上昇に対する日米金融当局の容認姿勢の違いから米長期金利の上昇が止まらず、9カ月振りに109円台へ上昇。月末近くには、追加経済対策第2弾(インフラ投資)への期待と、月末の米大手銀行への資本規制(SLR、補完的レバレッジ比率)の緩和が終了となったことから長期金利は一段高となり、1.78%台に上昇。ドル/円は111円手前まで上昇しました。

 4月に入ると、バイデン政権の経済対策第2弾である、インフラ投資2兆ドルが発表されました。期待されていた規模よりも小さく、増税とセットのため、財政規律への懸念が後退したことから。金利上昇圧力は緩和されました。また、3月末の債券の売りも一巡したことから、米長期金利は低下。それとともにドル/円も低下しました。

 このように振り返ってみると、米10年債利回りが2月、3月で急上昇し、ドル/円も106円を上抜けて加速し、111円手前まで上昇しました。現在は、米長期金利上昇が一服していることから、ドル/円も110円以上の円安は遠のいたようです。

 ただ、バイデン政権の経済対策は第2弾と合わせて3.9兆ドル(予定)と巨額であり、国債は増発されること、またFRBは、時期はともかく方向としては購入資産の縮小(テーパリング)、利上げと出口政策に向かっているため、長期金利も下がりづらいことが予想されます。従って当面のドル円は、108円台を中心とした105~110円のレンジ内で推移しそうです。

 インフレ指標については、4月分、5月分も上振れしそうですが、織り込み済みのため、しばらくは今回のような反応が予想されます。とは言ってもFRBが見方を変えるようなインフレが起こるのかどうか常に目配りしていく必要があります。