この1年はきっと、あなたの投資家としての財産となる

 投資を始めてまだあまり時間が経っていない方にとっては、この「2020年度」というのは「経験」という大きな財産となるはずです(正確には大きく下がった2020年1月から3月のマーケット経験も含め)。

 投資経験は、次のステップにおいてあなたの判断に余裕をもたらしてくれます。

 私も生まれて初めて購入した投資信託は、ITバブルの崩壊に直面し、大きく値下がりしました。相場の下落直後は売ることを我慢したものの、完全に回復することを待てずに最後は10%ダウンくらいで手放してしまいました。

 もし手放さずにいたら、今はその頃の水準を大きく上回っています。「値下がりすることもあること」「何もしないで待つこと」を実経験として理解したことは、リーマン・ショックの際に生かされました。

 私のiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)資産は年率8%くらいの成績となっていますが、これはひとえに「一度も売らずに国内外への分散投資を継続し続ける」を実践したからです。リーマン・ショックが来ても、日経平均株価が8,000円台に入っても、一度も投資を止めなかったことで、今の運用益の積み重ねがあります。

 これから先、何度も上昇相場がやってきて、何度も下落基調の時期もやってきます。相場の激しい騰落、特に下落の経験をしたことは得がたい財産となるはずです。

 みなさんもぜひ「2020年度」の成功体験あるいは失敗の経験を肥やしとして、投資の世界と向き合ってみてください。