今後、投資してみたい金融商品・国(地域)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲

 今回は、毎月実施している質問「今後、投資してみたい国(地域)」のうち、「アメリカ」と「日本」と答えたお客様の割合の差に注目します。

 当該質問は複数回答可で、選択肢は、日本、アメリカ、ユーロ圏、オセアニア、中国、ブラジル、ロシア、インド、東南アジア、中南米(ブラジル除く)、東欧、アフリカ、特になし、の13個です。

図:質問「今後、投資してみたい国(地域)」で、「アメリカ」と「日本」を選択したお客様の割合の差(アメリカ-日本)

出所:楽天DIのデータをもとに筆者作成

 上記のグラフは、質問「今後、投資してみたい国(地域)」の回答結果より、「アメリカ」から「日本」を引いた、日米金利差ならぬ、「日米投資指向差」を示しています。2019年ごろから、“アメリカ優勢”が続いています。

 近年、インターネットや電子機器、インフラなどの普及・技術革新によって、スマートフォンによる取引の一般化が進みました。今では個人投資家の皆様とスマートフォンは切っても切り離せない関係にあると、筆者は感じています。

 こうした社会の変化と同時進行するように、米国株の高騰が目立つようになり(もちろん国内株式も魅力的なのですが)、「スマホ×米国株→個人投資家の皆様の売買増加」という図式が際立ってきています。「日米投資指向差」が近年、アメリカ優勢で推移している背景には、スマホで取引するお客様の増加と米国株の高騰の同時進行、が挙げられると考えられます。

「日米金利差」はドル/円の動向を評価する上で、重要な指標とされています。日米の10年債利回りにおいて、「アメリカ」から「日本」を引いた値が大きくなればなるほど(金利差拡大)ドル/円相場に上昇圧力がかかり、小さくなればなるほど(金利差縮小)下落圧力がかかるとされています。

 本欄で述べた「日米投資指向差」の動向は、どのような意味があるのでしょうか。筆者は、その値が大きくなればなるほど、日本の個人投資家の皆様における国際分散投資が進んでいることを、小さくなればなるほど、国際分散投資が進んでいないことを示す指標になっていると、考えています。

 この「日米投資指向差」は、日本の個人投資家の皆様における国際分散投資の状況を示すヒントとなり得る他、さまざまな日本の個人投資家の皆様の現状を示す指標になると考えられます。まだまだ議論の余地が大きいテーマですので、引き続き、この「日米投資指向差」に注目していきたいと思います。

表:今後、投資してみたい金融商品 2021年3月調査時点 (複数回答可)

出所:楽天DIのデータより筆者作成

表:今後、投資してみたい国(地域) 2021年3月調査時点 (複数回答可)

出所:楽天DIのデータより筆者作成