H.U.グループHD(4544・東証1部)

▼どんな銘柄?

 臨床検査薬大手の富士レビオと受託臨床検査大手のSRLが統合して2005年に設立、2020年7月にみらかホールディングスから現社名に変更しています。

 受託臨床検査、臨床検査薬、減菌関連、日本食品エコロジー研究所やセルフメディケーション・健保事業など新規分野の4つの事業セグメントとなっています。新型コロナウイルスに関して、約2.5万件/日以上の検査受託キャパシティを整備しています。

▼業績見通し

 第3四半期決算時に通期業績予想を上方修正しています。営業利益は従来160億~200億円のレンジ予想でしたが、265億円、前期比2.7倍の水準へと増額しています。

 国内における新型コロナウイルス感染者数の増加に伴ってPCR検査受託数が増加したこと、高感度抗原定量検査試薬の販売が想定を上回ったこと、海外における高感度抗原定量検査試薬の需要が拡大したことが上振れの背景としています。

 なお、10-12月期は過去最高の売上高、営業利益の水準ともなっているようです。

▼ここがポイント

 コロナ禍一巡後の業績鈍化懸念が強い状況にありますが、コンセンサスほどには業績が悪化しないとの見方も出てきているようです。

 2022年3月期以降に関して、海外からの日本入国者数が増加しそうですが、これに伴って空港での高感度抗原検査の件数が増加するとみられ、業績の上振れ要因となるでしょう。

 また、パンデミックの収束後も、健康意識の高まりを受けて抗原検査キットを用いた検査が定着していく余地もありそうです。

ミクシィ(2121・東証1部)

▼どんな銘柄?

 スマートデバイス向けゲームを手掛けるデジタルエンターテインメント事業が主力です。中心となるゲームは「モンスターストライク」で、2020年11月には新作「スタースマッシュ」の配信も開始しています。

 そのほか、プロスポーツチーム経営などのスポーツ事業、SNS「mixi」などのライフスタイル事業を行っています。エンターテインメント業界におけるDXを推進するファンド「ミクシィエンターテインメントファンド」を2020年10月に設立しました。

▼業績見通し

 2021年3月期第3四半期(10-12月期)営業損益は14.1億円の黒字で前年同期8.8億円の赤字から黒字に転じています。前年同期は本社移転費用が発生しており、その費用を除いたベースでも前年同期比77.6%増益となっています。

 一方、前四半期比では減収で大幅減益となっています。新作ゲームリリースに向けた外注費の増加、新規サービスの先行投資による販管費の増加も響いています。

▼ここがポイント

 現在は、「モンスターストライク」の次のけん引役を見定めるタイミングにあります。ドライバーとして期待されるのはスポーツ事業であり、競輪投票サービス「チャリロト.com」や「TIPSTAR」、競馬情報サイト「netkeiba.com」の利用が進んでいます。

 費用先行の時期がいつまでかは定めにくいですが、競馬や競輪ではオンラインを用いた投票が増加傾向にあるため、長期的に恩恵を享受できる余地は大きいとみられます。

スカパーJSATHD(9412・東証1部)

▼どんな銘柄?

 2007年に衛星放送事業を展開する「スカパー」と衛星通信事業を展開する「ジェイサット」が経営統合し、共同持ち株会社として設立されました。2008年に衛星通信大手の「宇宙通信」を買収し、現社名へと変更しています。

 衛星有料多チャンネル放送「スカパー!」を運営するメディア事業、衛星通信サービスを手掛ける宇宙事業を主力としています。2021年2月期末の段階で、「スカパー!」加入件数は約306万件、1月末の段階で衛星保有数は18機となっています。

▼業績見通し

 2021年3月期第3四半期累計営業利益は166億円で前年同期比34.7%増益となっています。メディア事業では、視聴料収入が減少しましたが、コンテンツ費用の減少や減価償却費の減少などコストが抑制されて増益となっています。

 宇宙事業においては、2020年4月サービス開始のJCSAT-17(NTTドコモ向け専用衛星)及び2019年1月にサービス開始のHorizons 3eの収益が増加したことなどで増収増益となっています。なお、通期予想は上半期決算時に続く上方修正を発表しています。

▼ここがポイント

 宇宙事業の今後の展開力が注目されます。

 衛星から取得した画像や位置情報などの地理空間情報と各分野にカスタマイズしたAI分析を組み合わせた情報サービス「Spatio-i」の提供を開始しているほか、衛星データと地図データなどを組み合わせた「総合防災情報サービス」の開発に向けてゼンリンや日本工営と業務提携を行っています。

 また、2020年12月には電力中央研究所と「ハイブリッド型太陽光発電出力予測システム」の共同開発に合意しています。さらに、スペースデブリ対策への取り組みなども注目されます。