モメンタムが好転している高利回り銘柄は、新年度の増配も期待

 2022年3月期の企業業績は、コロナ禍からの回復で、総じて大幅な増益が期待できる状況でしょう。業績拡大に伴っての増配の動きなども想定できるため、3月末権利落ち後も、高配当利回り銘柄の投資妙味は相対的に大きいと判断されます。

 なかでも、足元で業績モメンタムが大きく好転している銘柄などは、より新年度の好業績・増配期待などが高まりやすいと判断されます。

 下表は、時価総額1,000億円以上で配当利回り3.5%以上の銘柄の中から、コンセンサスの経常利益予想が3カ月前と比較して大きく拡大しているものをスクリーニングしたものです。数値は全て楽天証券のスーパー・スクリーナーを使用しています。

 コンセンサス予想の上方修正はイコール業績モメンタムが良好と判断してよいと考えられます。

足元の業績モメンタムが良好な高配当利回り銘柄ランキング(3月15日時点)

コード 銘柄名 予想
配当
利回り
株価 時価
総額
経常
利益
変化率
8604 野村HD 5.04 674.3 21,804 118.16
4502 武田薬品工業 4.39 4,102.0 64,663 121.19
4544 H.U.グループHD 4.26 3,365.0 1,932 104.22
2121 ミクシィ 4.05 2,838.0 2,220 75.54
5857 アサヒHD 3.81 4,270.0 1,702 59.15
9412 スカパーJSATHD 3.73 482.0 1,432 15.30
配当利回り平均 4.21
注:予想配当利回りの単位は%、時価総額の単位は億円、経常利益変化率の単位は%。株価は2021年3月15日終値、単位は円。

選定要件

  1. 予想配当利回りが3.5%以上(3月15日終値ベース)
  2. 時価総額が1,000億円以上(同)
  3. コンセンサス経常利益の変化率が3カ月前比で+10%以上
  4. 3月期本決算

野村HD(8604・東証1部)

▼どんな銘柄?

 証券業界で国内最大手の野村證券をはじめ、運用資産約54兆円の野村アセットマネジメント、野村信託銀行などを有する金融グループです。顧客資産残高は約121兆円、野村證券は国内に123店舗を構えています。

 リサーチ力にも定評があり、グローバル・リサーチは世界経済・金融指標の86%をカバーしているようです。海外ホールセール部門の収益が全体の半分近くを占めています。

▼業績見通し

 10-12月期の税引前利益は1,313億円で前年同期比88%増益、前四半期比でも57%増益と拡大しています。営業部門、アセット・マネジメント部門、ホールセール部門と、主力3セグメントがそろって伸長しました。

 第3四半期累計では3,968億円で前年同期比45%増益、2002年3月期以降では最高の利益水準となっているようです。国内外における良好なマーケット環境が追い風となっており、M&A(合併・買収)手数料増加なども貢献しました。

▼ここがポイント

 世界的な株式相場上昇の恩恵を最大限に享受できる立ち位置にいます。

 高値警戒感によるマーケットの先行きリスクはある程度織り込まれた株価形成になっているとみられ(2022年3月期は減益予想とするアナリストが多い)、世界的な株価の一段の上振れはストレートに買い材料となってくるでしょう。

 また、総還元性向を50%以上とする株主還元方針であり、近いタイミングでは自己株式の取得実施などがアナウンスされる余地も大きいでしょう。

武田薬品工業(4502・東証1部)

▼どんな銘柄?

 国内製薬業界でのトップ企業となります。がん、希少疾患、神経精神疾患、消化器系疾患の4つの疾患領域に注力しています。

 2019年1月、アイルランドの製薬大手シャイアーの買収を完了、買収総額は円換算で約6.2兆円と、日本企業として過去最高額のM&Aとなりました。これにより、事業規模は世界トップ10に仲間入りすることになりました。

▼業績見通し

 第3四半期累計営業利益は3,587億円で前年同期比2.2倍ですが、実質的な収益を占めるコア営業利益は7,806億円で同1.5%減益になっています。事業売却の影響や為替のマイナス影響が響きました。

 ただ、グローバルブランド14製品の実質成長率が15%増となっているように、安定した実質売上成長が図れています。

 なお、OTC事業の売却益が発生することで、会社側の通期営業利益計画4,340億円には大幅な上振れ余地があります。

▼ここがポイント

 豊富なパイプラインが注目されます。好酸球性食道炎、デング熱予防、ハンター症候群、非小細胞肺がんなどの治療薬の承認や申請などのイベントが近づいています。開発プログラムのアップデートは4月の上旬にも行われるようです。また、コロナウイルスワクチンに関しても、モデルナ製ワクチンの国内治験を開始しているほか、自社工場でライセンス生産するノババックス開発ワクチンも治験を開始、2021年後半の供給開始を目指しています。