本日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは109.70

下値メドは107.85

インフレ上昇に対するFRBの対策が決定的に出遅れるおそれ

 8日(月曜)のマーケットも円安続行。108.33円でオープンした週明けのドル/円の下げは浅く、安値は108.26円まで。東京時間午後に108.50円を上に抜けるとそのまま上昇、NY時間には108.94円をつけて昨年6月以来の高値を9営業連続で更新。終値も円安の勢いを維持して108.92円。

 マーケットでは「いいかげん…」の雰囲気も徐々に出始めているようです。円安の勢いは続きますが、少し注意は必要かもしれません。

 米上院は先週末、バイデン大統領の1.9兆ドルの大型景気刺激策を可決しました。本日(9日)には下院でも可決して、14日までに成立する見通し。米議会通過は想定内。しかし予想より早く成立したことが株式市場の追い風となり、米債券利回りは上昇しました。

 最近、マーケットで流行っているのが「リフレ」という言葉。リフレとは「デフレ以上、インフ レ未満」の状態のこと。米国、そして世界の経済は今、「リフレ」に向かってどんどん進んでいるといわれています。

 リフレを支えるのが,景気刺激策とコロナワクチンの普及。米国では、今年中に全ての米国人にワクチン接種を行う計画で進んでいます。欧州では、6月末までにEU(欧州連合)域内の全成人(約3億人)にワクチン接種可能な数量を確保したと報じられています。(供給数確保のため、EUは豪に対してアストラゼネカ製ワクチンを禁輸。)

 景気刺激策の成立で、バイデン政権は3月中に国民1人1400ドル(15万円相当)の現金給付を開始。春にかけては移動制限の解除に合わせて消費急拡大が期待されます。

 インフレ期待が高まるなかで、米国債券の利回りは急上昇。これまで相場の支援材料だった「金利」は、最近の米株式相場の乱高下を引き起こす不安定要因になりました。

 しかし、ここから先のリフレ道のりはかなり険しくなります。ワクチン普及は、マーケットにとってはもはやサプライズではなく、相場材料としての価値は低下。一方、バイデン景気刺激策は「あまり期待しない」から「かなり期待している」へとハードルが数段高くなっている。

 景気刺激策と緩和政策とワクチンの経済効果の大部分をすでに織り込んだマーケットで、「リフレ・トレード」が次のステージに進むには、よりリアルな結果、すなわち持続的な経済成長が要求される。米国は、リフレを通り越してインフレに一気に進む可能性がある。そうなったときFRB(米連邦準備制度理事会)は、金融政策の正常化の検討を始めることを認めるしかなくなります。「テーパー・タントラム」は避けられないかもしれません。「テーパー・タントラム」とは?今日の注目通貨をご覧ください。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

主要指標 終値

出所:楽天証券作成

今日の一言

テーブルにいるときはチップを数えるな。勝負が終わってから時間はいくらでもある。