プラス成長、「見かけの経済」にご注意
2021年を通じてゼロ成長、つまり、2021年のGDPが2020年10-12月のGDPと変わらない水準であっても、2021年のGDPは543兆円になるので、2020年のGDP529兆円と比べて、+2.6%の成長率となります。
年を通じて経済が成長していないのに、前年に比べて高い成長率になるというのは、一見、奇妙に思えますが、最終四半期のGDP(発射台と呼ばれます)が高く、プラスのゲタを履いていると、このようなことが起こります。
2021年1-3月のGDPは緊急事態宣言もあって、2020年10-12月と比べてマイナス成長が見込まれています。早速、ゲタの一部を失うことになりますが、引き続き、ゲタのおかげでプラス成長になりやすい点は変わりません。
また、2021年度のGDPを見る際、2021年1-3月の数字が多少悪くても、2020年4-6月のGDPが2020年度のGDPを引き下げるので、2021年1-3月のGDPは2020年度(2020年4月~2021年3月)のGDPより高くなります。
つまり、年度で見た場合でも、プラスのゲタを履いてスタートするので、2021年度を通じてゼロ成長でも、2021年度のGDPは2020年度のGDPと比べてプラス成長になります。
2021年、あるいは、2021年度の経済成長率を考える場合、ゲタによるバイアスを意識する必要があります。例えば、2021年に+3%の成長を見込むのであれば、ゲタからわずかに+0.4%しか増加していないことになります。見かけの強い数字を真に受けるのではなく、ゲタを引くことで、より実際の経済の動きに近い数字が得られます。