経済正常化期待の時期の違いが、ポンド高に反映
ポンドは節目である1.45を目指してポンド高が進んでいますが、ワクチン普及の英米の違いを経済正常化への期待というフィルターを通して、単純にポンド高・ドル安を反映しているだけかもしれません。米国もワクチン普及や追加経済対策による経済回復期待が大きいですが、英国への期待の方が大きく、かつBrexitに絡むEU(欧州連合)との交渉という要因が剥落したこともポンド高を後押ししているのかもしれません。
そしてワクチン普及による経済回復期待は経済正常化への期待に変わってきているようです。パウエル議長は、米経済の正常化は今年後半とみているようですが、英ジョンソン首相は6月21日の規制解除で経済は正常化に向かうと楽観視しています。この時期の違いがポンド高を反映しているようです。
翻って日本の現在のワクチン接種の対応をみていると、ワクチン接種が計画通りに進まない可能性がありそうです。ワクチン普及の違いによるポンドとドルの関係のように円が売り材料になるのかどうか、今後注目度合いが高まってきそうです。
先週、ポンド/円は150円を目指すことに触れましたが、あっという間に150円にタッチしました。ポンドは1.42台を付けました。ポンドの次の目標水準は、節目である1.45の前に、まずは1.43台後半が目標の水準です。1.43台後半は、2016年のBrexit国民投票以降、ポンド安が続き、1.50台から1.18台に下落した後の戻り高値の水準ですが、視野に入ってきたようです。ポンド/円だと、その時の水準は155円になります。
これらポンド/円などのクロス円の上昇がドル/円を支える要因となっていますが、円安の別の要因である米長期金利の上昇は、パウエル議長が懸念していないとの認識を示したことから1.50%を目指してさらなる上昇があるかもしれません。しかし、米国債の2年債などの長期金利は上昇していないため、ドル/円の上昇圧力にも限界がみられるかもしれません。106円は見えても、107円は近そうで遠い水準になるかもしれません。