ドル/円より、ポンドや豪ドルに注目

 今週も、ドル/円というよりもポンドや豪ドル、それらのクロス円の動きに注目です。英国のジョンソン首相は、22日、3月8日からロックダウンを段階的に解除すると発表しました。ワクチン接種が計画通りに進んでいることによって、状況が劇的に好転していると説明し、6月21日までには解除できると楽観していると述べました。ただ、保証はできないとも付け加えました。マーケットではロックダウン解除によって経済正常化への期待が高まり、ポンド押し上げ要因となっています。

 これに対して、米国ではワクチン接種が遅れている状況となっています。特にテキサス州を中心とした寒波でワクチンが届かなくなっている州もある状況です。新型コロナウイルスによる感染者の増加は鈍くなってきましたが、米国の累計死者数はわずか1年で50万人を超えました。パンデミックによるこの1年の犠牲者は、第1次世界大戦(約11.6万人)、第2次世界大戦(約40.5万人)を合わせた数に匹敵する死者数となっています。

 米国でワクチン接種が伸び悩んでいる背景のひとつに国民の接種意欲があります。米調査会社ギャラップが2月に発表した一般の米国人を対象にした調査によると、「ワクチン接種に同意する」と回答したのは71%だったそうです。

 特に米軍でワクチンの接種が伸び悩んでいることが問題になっています。ワクチンの提供を受けた米兵のうち3分の1が接種を拒否しているとのことです。米兵は長期間にわたり共同生活を送る場合が多く、原子力潜水艦や空母などではさらに閉鎖された空間で過ごすことになります。また、訓練中はマスク着用やソーシャルディスタンスの確保といった予防策を講じにくく、集団感染のリスクが高いとされています。集団感染で部隊が機能不全に陥れば、米軍による抑止力に影響してくると米軍は危機感を強めています。