マイクロソフト
1.2021年6月期2Qは16.7%増収、28.8%営業増益
マイクロソフト(ティッカーシンボルはMSFT、NASDAQ上場)は、世界的なIT企業の1社です。パソコン用OSでトップシェアの「Windows」、パソコン用アプリケーションソフトの「Office」とそのサブスクリプションサービスである「365」、サーバー用プロダクト、商用クラウドサービス「Azure」、家庭用ゲーム機「Xbox」と関連ゲームソフトなど、法人向け、個人向けにコンピュータ関連の多様なソフトウェア、サービスを提供しています。
マイクロソフトの2021年6月期2Q(2020年10-12月期)は、売上高430億7,600万ドル(前年比16.7%増)、営業利益178億9,700万ドル(同28.8%増)となりました。
表8 マイクロソフトの業績
2.各事業とも順調に成長中
セグメント別業績を見ると、プロダクティビティ&ビジネスプロセスが今2Q(2020年10-12月期)は売上高133億5,300万ドル(前年比12.9%増)、営業利益61億8,100万ドル(同19.3%増)となりました。この中に、ワード、エクセルなどの業務用アプリケーションソフトのシリーズである「Office」とそのサブスクリプションサービスである「365」(月額または年額課金)の法人向け、個人向けが入っています。また、クラウドベースのERP、CRMである「Microsoft Dynamics 365」も入っています。これらの事業は安定成長事業ですが、Windowsの高シェアを背景に好採算が続いています(今2Qの営業利益率46.3%)。
次が、インテリジェントクラウドであり、今のマイクロソフトをけん引しているのがこの事業です。今2Qは売上高146億100万ドル(同23.0%増)、営業利益64億9,200万ドル(同43.3%増)となりました。このけん引役が商用クラウドサービスの「Azure(アズール)」です。世界のクラウドサービス市場における市場シェア(2020年10-12月期)は1位AWS(アマゾン)32%、2位Azure(マイクロソフト)20%、3位Google Cloud 7%となっており、マイクロソフトはAWSを追う立場にあります(市場シェアはCanalysによる)。Azureの売上高は不明ですが、今2Qは前年比50%増と、AWSの同28%増を上回る成長を実現しています。
最後が、パーソナルコンピューティング他であり、今2Qは売上高151億2,200万ドル(同14.5%増)、営業利益52億2,400万ドル(同25.0%増)となりました。このセグメントに、Windows、ゲーム、SurfacePC、広告事業が入っています。営業利益率は3セグメントの中で最も低いですが、順調な成長が続いています。今後はゲーム事業で新型Xboxとそのソフトがどの程度伸びるかが注目されます(今2Qのゲーミング売上高は50億3,100万ドル(同51.2%増))。
表9 マイクロソフト:セグメント別業績(四半期)
表10 マイクロソフト:セグメント別業績(通期)
3.2021年6月期、2022年6月期とも順調な業績拡大が予想される
2021年6月期3Q(2021年1-3月期)の会社側業績ガイダンスは、売上高403.5~412.5億ドル(前年比15.2~17.8%増)、営業利益153.5~159.5億ドル(同18.3~22.9%増)です。各セグメントとも、これまでの流れに沿った成長が実現できると思われます。
今後については楽天証券では、2021年6月期を売上高1,660億ドル(同16.1%増)、営業利益660億ドル(同24.6%増)、2022年6月期を売上高1,930億ドル(同16.3%増)、営業利益800億ドル(同21.2%増)と予想します。各セグメントとも成長するバランスの取れた利益成長が予想されます。
4.今後6~12カ月間の目標株価を300ドルとする
今後6~12カ月の目標株価を300ドルとします。2022年6月期楽天証券予想EPS 9.00ドルに、高い収益性を維持しつつ順調に業績が拡大していることを評価して想定PER30~35倍を当てはめました。
中長期で投資妙味を感じます。
本レポートに掲載した銘柄:アップル(AAPL、NASDAQ)、アマゾン・ドット・コム(AMZN、NASDAQ)、マイクロソフト(MSFT、NASDAQ)