新たなコモディティのスーパーサイクル入り?コモディティ関連通貨に注目

 株価が世界的に騰勢を強める中、為替市場はリスクオンの動きを見せている。

日経平均CFD

ボラティリティフォローの売買シグナル(赤=買い・黄=売り)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

NYダウCFD(日足)

ボラティリティフォローの売買シグナル(赤=買い・黄=売り)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

 豪ドルやNZドル、カナダドルが対ドルで上昇、さらにはメキシコペソなどもしっかりとした動きになっている。とりわけ強さが目立つのがじゃじゃ馬通貨のポンドである。ポンドはドルに対して2018年以来の高値をつけ、高値圏での推移が続いている。

 英国では昨年12月8日からワクチンの接種を開始し、今月14日には、1回目の接種を受けた人は1,500万人に達した。開始から2カ月余りで1,500万人以上が1回目の接種を受けたことについて、ジョンソン首相は「偉業だ」と称賛。人口の2割あまりが1回目のワクチン接種を完了し、新規感染者数も減少傾向にあることが伝えられている。

 シーズナリーサイクル的にはポンドは2月中旬から3月にかけては軟調な展開となる傾向があるが、ワクチン接種に対する期待感、これがポンド上昇の背景にあるのだろうか。

ポンドのシーズナリーサイクル

出所:エクイティクロック

 筆者はコモディティ価格の動きを注視している。足元ではWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)が60ドル台に乗せるなど、しっかりとした動きとなっている。JPモルガンによると、長期のダウンサイクルは終わり、新たなコモディティの上昇、特に原油の上昇サイクルが始まったと指摘している。「世界は新たなコモディティスーパーサイクルに突入した」という大胆な予測である。

NY原油CFD(日足)

ボラティリティフォローの売買シグナル(赤=買い・黄=売り)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

 ゼロヘッジの記事「Kolanovic: A New Commodity Supercycle Has Begun(コラノヴィッチ:新しいコモディティスーパーサイクルが始まった)」によると、過去100年間で、一般的に4回のコモディティスーパーサイクルがあったと言われているが、前回の1つは1996年に始まった。そのスーパーサイクルは、2008年(拡大の12年後)にピークを迎え、2020年(12年の収縮後)に底を打ち、おそらく新しいコモディティスーパーサイクルの上昇局面に入ったとしている。

 前回のスーパーサイクルをけん引した最も重要なドライバーは、中国を含む新興国の経済的な台頭であったと指摘。当時、米ドルは弱含んでおり、資産運用会社はポートフォリオを分散させるためにコモディティへのエクスポージャーを追加するケースが増えていた。その後、2008年の世界的な景気後退は、欧州(2011年)と中国(2015年)のさらなる減速と相まって、コモディティ価格を下押しし、トランプ政権時代の「貿易戦争」やそれに続く世界的な製造業の不況、そして原油価格を史上初めてマイナスの領域に送り込んだ悲惨なパンデミックを経て、12年のダウンサイクル(価格下落サイクル)の終わりを告げた。

原油のスーパーサイクルとそのドライバー

出所:ゼロヘッジ

 コモディティがスーパーサイクルに入ったとしたらどんな通貨が影響を受けるのか。北海ブレントとの相関性の高いポンドおよびコモディティ通貨と言われる豪ドルの日足チャートを対ドル、対円でそれぞれ確認しておこう。

 ポンドは日足で綺麗な買いトレンド、対円でも上昇トレンドが継続している。

ポンド/ドル(日足)

ボラティリティフォローの売買シグナル(赤=買い・黄=売り)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

ポンド/円(日足)

ボラティリティフォローの売買シグナル(赤=買い・黄=売り)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

 豪ドルも対ドル、対円でそれぞれ買いトレンド。豪ドルはコモディティ通貨であるが、NYダウ連動通貨としての特徴も持っている。

豪ドル/ドル(日足)

ボラティリティフォローの売買シグナル(赤=買い・黄=売り)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

豪ドル/円(日足)順張りの標準偏差ボラティリティトレードモデル

ボラティリティフォローの売買シグナル(赤=買い・黄=売り)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター