先週決算を公表した銘柄から、売上高、EPS(1株当たり利益)共に市場予想を上回り、市場平均の目標株価とかい離がある銘柄を5銘柄紹介します。このうち3社は、大型テック銘柄のマイクロソフト、アップル、フェイスブックですが、好決算だったとはいえ今後の見通しには差が出る見込み。新型コロナウイルスの特需やその反動を切り抜け、長期的な成長トレンドを最も強く描けるのはマイクロソフトと考えています。そのほか、住宅建設大手のD.R.ホートン、ヘルスケアのアボットラボラトリーズに注目しています。

1.マイクロソフト
2.D.R.ホートン
3.アップル
4.フェイスブック
5.アボットラボラトリーズ

1.マイクロソフト(MSFT):つながりが深い大手企業の効率化ニーズを取り込み高成長中

 2021年2Q決算は、前年同期比17%増収、29%営業増益。前四半期の11%増収、25%営業増益から成長速度が加速。全てのセグメント(「プロダクティビティ&ビジネスプロセス」「インテリジェントクラウド」「モアパーソナルコンピューティング」)で増収率が加速。特に、「Azure」などのコマーシャルクラウドが34%増収と高成長。会社側は現在の事業環境について、「各企業や各産業でデジタルトランスフォメーションの第二波が到来しつつある」とコメントした。

「Azure」の売上高は50%増。クラウドとオンプレミス(自社設備による情報システム)のハイブリッド利用を促進する「Azure Stack HCI」や「Azure Arc」が、クラウドに完全移行していない伝統的な大企業を取り込んでいるもよう。企業向けアプリケーションソフトウエア大手のSAPとの提携拡大も進めており、今後も利用企業の拡大が期待できる。

 その他、コミュニケーションツールの「Teams」やゲームも堅調だが、伸び代としてローコーディング(最低限のコーディング)でデータの収集や解析・予測ができる「Power Platform」に注目したい。足元ではワクチン配布の効率化に向けて、ミネソタ州、ネブラスカ州、オクラホマ州が同プラットフォームを活用しているもよう。使い慣れたエクセルのように簡易なコーディングで分析できる点と、同社の他のサービスと連携している点に強みがあることから、「Azure」と同様に大企業の需要を取り込む可能性がある。

2.D.R.ホートン(DHI):住宅建設首位、値ごろ感ある価格帯が購入希望者の需要を掴む

 2021年1Q決算は、前年同期比48%増収、84%純増益。販売住宅数は56%増、契約数は45%増。住宅市場が活況に推移するなか、値ごろな価格帯に強みを持つ同社が住宅需要を取り込んだ。平均販売価格314,200ドル。同社によると1月も販売が堅調のもよう。利益率も改善しており、販売価格の値上げ等を背景に、住宅販売の粗利益率は前年同期4.1ポイント上昇の24.1%、販売管理費比率は前年同期から1.3ポイント改善した。

 今後のリスクは原材料の値上がりだが、会社側は「原材料の値上がりは値上げで吸収できる見込みであり、2Qの粗利益率も1Qと同等になるだろう。今後も、販売価格、販売インセンティブ、そして住宅提供のペースをコントロールすることによりリターンの最大化を図る」とコメントしている。

 中長期的には、住宅購入が遅れていた若者の新居購入、バイデン政権による移民規制の緩和等、相対的に値ごろ感のある住宅を求める人々の需要に期待が持てる。販売価格の上昇は彼らにとってネガティブだが、住宅購入者は自宅が必要のため購入をする面があり、彼らが提供できる金額でいかに満足度の高い住宅を提供できるかが焦点となる。

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