国内だけでは成長は頭打ちに、海外事業の利益拡大に期待

 国内で高い競争力を有する小売業に返り咲いたイオンですが、国内だけでビジネスをやっていたら、いずれ頭打ちになります。人口が成長するアジアで、利益を拡大していかなければ、中長期の成長は見込めません。

 イオンは、ASEAN(東南アジア)、中国に進出し、アジアで収益を拡大しています。初期コストの回収も終え、海外事業が黒字化しています。ただし、海外でも、小売業ではあまり稼げていません。それが、さきほどお見せした前期(2020年2月期)のセグメント情報から分かります。前期、事業別セグメントの「国際」部門の営業利益は103億円で、全体に占める割合は5%しかありません。

 ただし、海外でも金融・不動産の利益が拡大しているため、海外部門全体ではもっと利益を稼いでいます。総合金融・ディベロッパーセグメントに入っている、海外部門の営業利益まで加えると、前期は、営業利益の約2割を海外で稼いでいます。海外事業が既に利益の重要な構成要素となっていることがわかります。

 今期は、コロナという特殊要因があって、海外利益の落ち込みが国内以上に大きくなるため、海外営業利益の構成比は15%程度に低下すると予想されます。

 ただし、コロナ収束後には、再び海外利益が拡大し、全体に占める構成比は2年以内に3割まで上昇すると予想しています。