コロナ後の回復が見えてきた
イオンは今期(2021年2月期)▲30~▲44%の営業減益を見込んでいます。すでに出ている第3四半期までの実績(2020年3~11月)でも、営業利益は681億円で、前年同期(1,030億円)比▲34%の減益です。これだけ見ると、今期はとても厳しい業績と見えます。
ところが、株価は大幅減益でも、はやばやとコロナ前の高値を抜き、大きく上昇しています。
イオンの株価:2019年末~2021年1月26日まで
株価上昇の理由は、四半期別に営業利益の推移を分解するとよくわかります。
イオンの連結営業利益、四半期別の推移:2019年3-5月期~2020年9-11月期
今期は大幅減益となりますが、それは第1四半期(2020年3-5月)に赤字転落した影響が響くからです。6月以降、業績は徐々に回復し、9-11月の営業利益は前年同期比174%増の342億円と、9-11月期での営業最高益を出しています。
生活密着型の品ぞろえ(生鮮食品品や日用雑貨)が多く、コロナ禍での買い物需要をつかんでいることもありますが、それだけではありません。コロナ前から取り組んでいる構造改革の成果で、小売業の勝ち組となっている成果が出てきていると考えています。
今期の残り、第4四半期(2020年12月~2021年2月)の営業利益がどう出るか、注目されます。イオンは四半期別の売上・利益の変動(季節要因)が大きく、第4四半期は1年で一番利益が大きくなる時期だからです。
第3四半期の勢いが続けば、通期の利益は会社が想定する上限1,500億円より上ぶれると考えられます。ただし、気になるのは、コロナ感染拡大によって国内で再び非常事態宣言が発令されたことです。第4四半期の売上に非常事態宣言がどの程度影響するか、現時点でわかりません。
ただ、昨年、非常事態宣言が出された時ほどの、売上・利益の落ち込みはないと考えられます。今回の非常事態宣言のマイナス影響は、外食や観光業などにかたよっていて、生活密着小売業であるイオンへの影響は、相対的に小さくなると考えらます。12月の後半に寒波が到来したことも、イオンの売上に追い風です(注:暖冬は消費にマイナス、厳冬は消費にプラス)。