4.インデックスファンドで運用される資産が大きいことは不利だ
例えばインデックスファンドが銘柄・ウェイト共に「市場平均」そのもので、これが市場の株式保有の9割を占めている世界を想像してみよう。インデックスファンドのポートフォリオ(保有銘柄とウェイト)は、残り1割のアクティブ運用の平均を追って変化することになる。
指数の採用銘柄とウェイトに変化が無ければインデックス運用は何もしなくても指数を追えるが(この構造はインデックス運用が有利な理由の1つだ)、現実には、銘柄の入れ替えもあれば、浮動株調整を通じるウェイトの変化もある。
資金が大きくなると、当然ながら、ポートフォリオ調整のためのコストが大きくなる。コストは、インデックス投資家の負担になる。
インデックス運用にあっても、「大きいことは有利」ではない場合がある。
5.デリバティブ取引の影響を受けて不利を被ることがある
ビジネスとして考えてみよう。インデックスファンドを売るためには、ファンドがターゲットとする株価指数は有名なものの方が有利だろう。しかし、有名な指数には、この指数を原資産とする株価指数先物やオプション取引などのデリバティブ取引が付随する場合がある。上場取引以外にも、投資家の目から見えにくい店頭取引でデリバティブのポジションが発生する場合もある。
すると、指数は、デリバティブ市場との裁定取引に関わる幾つかの影響を受けるようになる。例えば、日経平均は、指数の構成が裁定取引に向いているので、デリバティブ市場の上下の影響を受けやすく、傾向として、ボラティリティー(つまりリスク)が大きめになりがちだ。デリバティブの原資産に採用された指数をターゲットにするインデックスファンドは、デリバティブによるヘッジがやりやすい長所もあるのだが、ポートフォリオのリスク属性として好ましくない影響を受ける場合がある。
ポートフォリオの属性として、「運用のターゲットとして投資家にとって好ましいこと」と「デリバティブ取引の原資産であること」との間には差が生じる場合がある。
6.インデックスファンドにも運用管理費用(信託報酬)がある
傾向としてアクティブファンドよりも低廉であるとしても、投資家から見て、インデックスファンドにも運用管理費用のコスト負担がある。現在、傾向としては、競争を通じて低下中だが、投資家としては、ファンドによって「差」が存在することは認識しておくべきだ。
インデックスファンドの運用管理費用コストについて筆者が気になるのは、ここでも巨額のETFを保有する日銀のコスト負担だ。
ETF運用の大手となる運用会社に対しては、大手に対しては、年間100億円以上の運用管理費用を支払っている計算で、このお金は、市場の一部では、運用会社に対する「日銀補助金」と呼ばれることもある。
日銀がETF保有額の大きさに伴う交渉力を生かして、運用管理費用の引き下げ交渉を行ってくれたら、日銀のためにも、一般投資家のためにも、大変好ましいことなのだが、一肌脱いで貰えないものか。