景気回復、インフレ復活

 先週発表された米国の12月小売売上高は、前月比予想0.0%に対して▲0.7%と悪かった。(11月▲1.1%)

 大統領選挙後の不透明感が続き、米政府の景気刺激策の方針が決まらず企業は採用や雇用維持に後ろ向き。これは12月雇用統計の非農業部門雇用者数が▲14万人という数字にもはっきり表れています。将来の不安が増すなかで家計消費が委縮、ネットショッピングまで売上高が落ち込みました。

 ただし、このデータは、バイデン大統領が国民1人あたり約14万5,000円の直接給付を含む200兆円規模の景気刺激策を発表する前のデータ。消費者のセンチメントも、当時比べて大きく上向いたと考えられるので、あまり心配することはないでしょう。

 エコノミストの多くは、 米国の経済指標は、今後数カ月は悪化する可能性が高いが、4月以降のデータは目覚ましく改善するとみています。そして同時にインフレ率も急上昇。

 インフレは上がっても一時的という意見も多いのですが、その時になってみないとわからない。目の前で物価がどんどん上がっていくときに、果たして平静でいられるでしょうか? 

 2021年になって、主要な中央銀行が成長見通しを発表しています。パウエル議長は先週行ったスピーチにおいて「経済が回復すると考えられる多くの理由が存在する」、「米経済はコロナ前のピーク時まで予想以上に早く戻るだろう」として、米経済の先行きに(慎重ながらも)自信を示しました。世界のコロナ感染者の1/4が米国に集中しているというのに、このような明るい見通しを示すことが素晴らしいです。

 日本政府がコロナ感染防止でいろいろな自粛を求めるのは仕方ないとしても、コロナ後の明るい希望は誰も語ってくれない。これからもずっと下を向いて歩いていくしかないみたいな辛気臭いトーンばかりだから、自粛疲れはなおひどくなるし、日本経済はいつまでたってもやる気がでないのでは?

 日銀はこの日、政策決定会合を開き、日本経済の見通しについて「成長率見通しはいくぶん上振れ」するが「下振れリスクの方が大きい」との見解を示しています。つまり…どっちですか?

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成