ドル:「リスクオン」はドル高?それともドル安?

ドルの見通しは、株式や金利に比べるとあまりはっきりしません。
景気先行きに楽観論が広がり投資家のセンチメント(投資意欲)が上向く状態を「リスクオン」といいますが、2019年までは「リスクオンはドル高(円安)」という関係が存在していました。

 しかし2020年、新型コロナによってNYなど米国の主要都市が次々と封鎖されていくなかで、株券でパンは買えない、現金を手元に必要だということで、株を売ってドルに換える動きが盛んになり「リスクオフはドル高(円安)」という関係に変わりました。

 しかしこれで終わりではない。今度はワクチン接種が(日本を除く)世界で進み、経済回復の期待が高まるなかで「リスクオンの時はドル安(円高)」という関係になった。

 なぜリスクオンでドル安かというと、米国に一極集中していたマネーが他の地域へと分散投資されるから。ところが、バイデン新政権の巨額な景気刺激策を見ると、米国経済は欧州よりも早く回復するという見方になってしまう。バイデン次期大統領は、コロナワクチン接種を積極的に推進しています。集団免疫((全人口の一定割合が免疫を有する状態)が相対的に欧州より早く、早ければ4月には達成できる期待もある。結局、米国に投資するのが最善ということになって、これはドル高材料。

 ということで、ドルの見通しははっきりしません。ワクチンや景気刺激策の効果を評価がある程度出揃う第2四半期になると、はっきりした方向が見えてくるでしょう。