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ドル/円: 雇用統計は弱かった。でも、そんなの関係ない!

 先週1月8日に発表された、BLS(米労働省労働統計局)による雇用統計では、12月のNFP(非農業部門雇用者数)が14.0万人減少。失業率は6.7%で前月比横ばいでした。下のチャートをご覧ください。

 12月は、レジャーや接客業、そして教育部門の雇用減が特に目立ちました。大幅な雇用減少は、新型コロナ感染者拡大とそれを食い止める努力を反映した結果です。

 11月の失業率は6.7%、失業者は1、070万人で前月から横ばい。失業率は4月から8ポイント低下しましたが、コロナ拡大前の2月時点(失業率3.5%、失業者580万人)に比べると、まだ2倍の開きがあります。

 失業者のうち、一時解雇者(レイオフ)は277,000人増えて300万人。4月時点の1,800万人に比べると大幅に少なくなりましたが、2月時点よりまだ230万人多い。10月の永続解雇者(パーマネント・レイオフ)は348,000人減り340万人。2月時点に比べるとまだ210万人多い。また、10月の労働参加率は61.5%で前月比横ばい。2月時点に比べると1.8ポイント低いですが、コロナ禍が深刻な状況でも労働参加率が低下しなかったことは明るい材料といえます。

 今回の雇用統計では、非農業部門雇用者数が昨年4月以来のマイナスに落ち込みました。コロナ感染拡大が止まらず全米の約1/3が部分的なロックダウンに置かれている状況で雇用市場が縮小するのは当然です。しかし、マーケットに動揺は見られず、逆に米株式市場では主要3指標が揃って最高値を更新。これはなぜかというと、ワクチン接種が順調に展開するなら、いずれ問題は解決するだろうという楽観的な見方が強いから。バイデン新政権の大型景気刺激策が労働市場を救ってくれることをマーケットは期待しています。

 12月非農業部門雇用者数のマイナスは、レジャーや接客業の雇用減が主因ですが、「新型コロナの直撃を受けたこれらのセクターを除くと、雇用の状況は見出しの数字が示すよりもバランスが取れている」とクラリダFRB(米連邦準備制度理事会)副議長は指摘しています。FRBも雇用縮小は一時的という見方に賛成している。別の見方をすると、これ以上の緩和政策は期待できないとことになります。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

米失業率と雇用者数の推移(2020年5月~12月)

 

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