投資したいと考える理由

 以下、5銘柄を選んだ理由を、簡単にコメントします。

【1】ENEOS HD

 エネルギ-分野で、川上(原油資源開発)から川下(石油製品)まで、一貫生産できる強みを持ちます。原油備蓄義務があり、前期(2020年3月期)は、原油急落で巨額の在庫評価損が出たため、▲1,879億円の純損失に転落しました。

 ただし、原油価格が反発しつつある今期(2021年3月期)は、在庫評価損がなくなり、900億円の純利益に回復する見込みです。コロナが収束すれば、さらに収益回復が続くと予想しています。株価が下がっている今、高配当利回り株としてじっくり長期投資して良いと考えています。

【2】三菱UFJ FG

 上記5銘柄の中で、一番投資価値が高いと私が考えているのが、三菱UFJ FGです。低金利の長期化で銀行の収益環境が悪化していますが、三菱UFJは、海外事業収益の拡大と、ユニバーサルバンク経営(証券・信託・リース・カードなどへの多角化)によって高収益を維持してきました。コロナ禍前(2019年3月期まで)は、低金利下で8,000億円~1兆円の純利益を安定的に稼いでいました。

 コロナ禍でクレジットコストが増加するため、前期(2020年3月期)と今期(2021年3月期)は、純利益が5,000~6,000億円に低下するものの、コロナ収束後には再び純利益8,000億円~1兆円をあげると予想しています。

 コロナ禍でクレジットコストが増加している今期(2021年3月期)、純利益は6,000億円に留まると予想されますが、それでも将来の収益回復に向けた良い兆しが3つ現れています。

 1つ目は、上半期(2020年4~9月)の業務純利益が前年比18%増の7,404億円であったこと。コロナ危機を受け、手元流動性の積み増しに動く企業が増え、貸出金や貸出枠の積み増しが増えたことなどが貢献しました。

 2つ目は、世界的な株価上昇を受けて、上半期に保有有価証券の含み益が大幅に増加したこと。三菱UFJの保有有価証券含み益は、9月末で3兆5,525億円で、3月末より6,638億円増加しました。

 3つ目は、固定費削減が順調に進んでいることです。収益性が低下した国内商業銀行部門を中心に店舗削減、DX(デジタルトランスフォーメーション)活用によって、コストカットを進め、収益基盤を強化しつつあります。

 銀行に投資するならば、海外で収益を拡大させている3メガ銀行に限定すべきと考えています。日銀の低金利政策でダメージを受け、収益悪化が長引く地方銀行には、投資すべきでないと考えています。

 3メガ銀行では、三菱UFJ FGのほか、三井住友FG(8316)(予想配当利回り5.8%1月6日時点)・みずほFG(8411)(同5.5%)も、投資価値は高いと考えています。ただし、三井住友は最低投資金額が32万9,500円(1月6日時点)、みずほは同13万5,300円と、10万円を超えているので「10万円で買える」リストには入りません。

 みずほFGは、昨年9月までは100株を1万円台で買えました。ところが10月1日に10株を1株にする株式併合を実施したため、100株あたりの投資金額が10倍となり、「10万円以下で買える株」を卒業してしまいました。

 3メガ銀行の投資魅力を相対比較すると、海外収益拡大で先行する三菱UFJの魅力が一番高いと、私は判断しています。

【3】三菱UFJリース

 リース事業で、国内外で高収益を安定的にあげていく力があると判断しています。今期(2021年3月期)は、コロナ禍で連結純利益は前期比29%減の500億円となる見込みです。ただし、コロナが収束すれば、収益も株価も回復すると予想しています。

 大株主は、三菱UFJ FGおよび三菱商事です。銀行と商社のノウハウを結集し、オペレーティングリースを拡大することで、収益基盤を強化しつつあります。今年4月1日に、日立キャピタルとの経営統合を予定しています。

 三菱UFJ FGと三菱UFJリースのどちらに投資すべきかと聞かれれば、私は迷わず、三菱UFJ FGと答えます。リースも魅力的ですが、メガバンクの方が総合力で魅力が高いと考えています。

【4】双日

 今期(2021年3月期)は、コロナ禍で連結純利益は前期比51%減の300億円となる見込みです。業績悪化を受けて、株価も大きく下落しました。

 ただし、7月以降、収益は回復に向かっています。コロナが収束すれば、収益も株価も大きく回復すると予想しています。今、逆張りで投資していく価値が高いと、私は判断しています。

【5】三菱ケミカルHD

 コロナ禍の影響で、今期(2021年3月期)は、▲590億円の純損失に転落する見込みです。ただし、コロナが収束すれば来期は800~1,000億円の純利益に回復すると予想しています。リチウムイオン電池材料など電子部材や医薬品など高付加価値品で稼いでいく力があり、コロナショックで売り込まれた現株価は、割安と判断しています。

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