先週の国内株式市場は、上値をトライする動きが印象的な週となりました。

 日経平均株価は年初来高値を更新し、さらに、2015年6月につけたこれまでのアベノミクス相場の高値(終値ベースで2万868円・取引時間ベースで2万952円)の水準をも突破、そして週末10月6日(金)の終値は2万1,155円と、ついに乗せきれなかった2万1,000円台を維持しました。株価水準的には約21年前(1996年11月27日の2万1,345円)以来のところまで来ています。

 また、前週末(10月6日の2万690円)からの上昇幅は465円ほどで、週間ベースでの上昇は5週連続となりました。ちなみに、週間ベースでの上昇ピッチをたどると、635円、387円、60円、334円、そして先週の465円となっており、相場の勢いが継続していることがうかがえます。日足ベースでも9営業日続伸です。

■図1 日経平均(日足)の動き:2017年10月13日取引終了時点

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成


 まずはいつもの通り、足元の日経平均の動きを上の図1で確認します。

 連休明けだった先週の営業日は4日間でした。前回、「上昇基調を描いている割には陰線が多い」点を指摘しましたが、先週のローソク足の並びについては陽線が目立っています。取引時間中も上値を追う動きに勢いがあったことがわかります。5日移動平均線の傾きも前週からの角度を保ったまま推移しています。

 10月12日(木)には十字線が出現していますが、こちらは節目の2万1,000円台を目前にして、「目標地点なのか通過点なのか」の見極めの動きが反映されたものと思われます。翌13日(金)の取引でも午前中に2万1,000円台をトライした後、午後の取引時間になって一気に上げ幅を拡大する動きになっています(下の図2)。

■図2 日経平均のTickチャート(2017年10月11日〜13日)

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

 こうした株価上昇の背景には、(1)北朝鮮情勢がこう着し、目先の軍事衝突の可能性が後退したこと、(2)米株市場でも主要株価指数が史上最高値を更新していること、(3)企業業績への上振れ期待が高まっていること、(4)10月22日に投開票を控える国内衆院選挙戦が与党有利の情勢で進んでいること、(5)国内外の景況感が改善していることなどが挙げられます。

 特に(5)については先週の10日(火)にIMF(国際通貨基金)が世界経済見通しを公表し、2017年の経済成長率を上方修正しました。また、同じ日に国内で発表された景気ウォッチャー調査も現状判断指数DIが改善傾向を示しています。

 13日(金)の値動きからすると、今のところ日経平均の2万1,000円台は「通過点」と受け止められている印象です。そのため、今週のメインシナリオは、企業業績期待や週末に控える選挙での与党優勢の状況などが、引き続き後押し材料となる展開が想定されます。ただし、以前からも指摘している通り、急ピッチな株価上昇で日経平均と25日移動平均線とのかい離が拡大傾向にあります。いずれ近いうちにこのかい離を修正する日柄調整の局面がやってくることになりますが、「それまでどこまで上値を試せるか」が焦点です。

 なお、13日(金)取引終了時点での日経平均と25日移動平均線とのかい離は4.24%です。4月半ばから5月にかけて日経平均が急上昇した時のかい離は5.52%まで拡大しましたので、今回もそこまでのかい離があるとすれば、13日(金)時点の25日移動平均線(2万292円)で単純に計算して2万1,400円ぐらいまでの上昇はあり得るかもしれません(下の図3)。
 

■図3 日経平均(日足)と移動平均かい離率 25日:2017年10月13日取引終了時点

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

 一方、足元で売りのきっかけになりそうなのは、株式市場の高値警戒感と北朝鮮情勢の変化ですが、今週18日(水)から中国で共産党大会というビッグイベントが予定されています。過去を振り返ると、北朝鮮は中国のイベントに合わせてミサイル発射などの行動を起こすことが多いため、「もしも」には注意が必要です。

 また、株価と移動平均線とのかい離と言えば、TOPIXの状況についても見ていく必要がありそうです。

■図4 TOPIX(日足)と移動平均かい離率 25日:2017年10月13日取引終了時点

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

 実は、13日(金)時点でのTOPIXと25日移動平均線とのかい離は2.72%となっていて、日経平均と比べるとかい離の幅は大きくなっていません。ちなみに、4月半ばから5月にかけての上昇局面ではTOPIXも日経平均と同じように5.40%まで拡大していました。

 となると、足元の状況は日経平均が前のめり過ぎるか、TOPIXが出遅れているのかのどちらかになりますが、先週末は株価指数のオプション取引・mini先物取引のSQ日が控えていたため、日経平均が先行していた可能性のほうが強そうです。

 反対にTOPIXが出遅れているのであれば、今後の企業業績動向に対する株価の反応を見極めていくことになります。そのため、今週は勢いよく高値を試しても、後が続かず意外と上値が抑えられがちになるかもしれず、早めに取引を手仕舞うなど「深追い」は禁物のスタンスで臨むのが良さそうです。