コロナで経済システムが変異

 新型コロナに対する米国の政策対応は、「失業は一時的なものであり、経済が再開すれば元に戻る」という根拠に基づいて、失われた所得を補うことに焦点を当てています。

 しかし、全ての業種の雇用がコロナ前に戻ることはありません。なぜなら、この失業は不況が原因ではなく「雇用の構造変化」が生み出したものだからです。

 雇用の構造変化は、コロナ前からすでに起きています。米アマゾンの無人コンビニ「Amazon Go」がオープンしたのは2018年1月。日本でも同様の試みが2020年1月頃にスタートしています。そこにコロナウイルスが大流行したことで、人々が他人との接触を自主的あるいは強制的に避けるように社会のスタイルが激変して、雇用の構造変化が一気に加速したのです。経済構造変化は、コロナとは関係なく避けて通ることができなかったわけで、ある意味健全な進化ともいえます。しかし、問題は変化のスピード。3年かかるはずだった変化が半年のうちに起きているのです。経済システムというのは、長い時間をかけた変化にしか対応できない。数年で起こるべき変化が数カ月に凝縮された結果、さまざまな問題が起きているのです。