1.米国学費問題の現状と今後の解決策

 今回は、バイデン大統領の重要施策の一つである教育機会の促進について取り上げます。バイデン大統領は先週の就任直後、学生ローンの支払い猶予期間を9月末まで延長する措置を発表しました。高騰する学費は米国内で深刻化しており、今後も追加の施策が打ち出される可能性があります。

 米国の学費問題は深刻で、州立大学で年間1万ドル(103円換算で約103万円)、私立大学ではその数倍はかかるもようです。多くの学生がローンを組んでおり、昨年は4,000万人の米国人が学生ローンを負い、平均で毎月200ドルから299ドル(約2万600~約3万800円)を支払う義務が生じたと報道されています。学費の高騰により大学への進学を諦める人や、卒業できたとしても収入が上昇せず、生活が困窮する人が少なくない状況です。

 今後、バイデン大統領が教育関連の施策として打ち出す可能性があるものは、(1)コミュニティカレッジへの2年間の学費免除、(2)世帯収入が12万5,000ドル(約1,288万円)を下回る人々を対象にした学費免除の大学の設立、(3)学生ローンの1万ドル(約103万円)免除、です。これらが実現した場合、学費の面で諦めていた人々が大学に入学するチャンスを掴むことになります。