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2020年は新型『コロナ』ウイルスが世界的に猛威をふるった1年となりました。感染抑制対策のロックダウン(都市封鎖)などにより、各国・地域における経済活動が縮小しました。一方、金融市場は前例を見ないほどの積極的な金融・財政政策などにより、混乱は一時的でその後好調となりました。また、巣ごもり需要やテレワーク(在宅勤務)など新たな経済活動形態へのシフトも『コロナ』によって生じた2020年の特徴と言えます。
【ポイント1】『コロナ』感染抑制のため各国はロックダウンなどを導入
2019年12月、中国湖北省武漢において原因不明の肺炎患者が複数確認されました。WHO(世界保健機関)は2020年1月14日、この症状を新型『コロナ』ウイルスによるものとし、同月30日には国際的な緊急事態を宣言しました。その後、『コロナ』感染は日本をはじめとしたアジア地域を経て全世界に広がり、3月以降は一部欧米主要国におけるロックダウンが実施されるまでに至りました。累計感染者数は12月21日現在、世界全体で7,500万人を超えています。
ロックダウンなどの経済活動制限の影響などを背景に、IMF(国際通貨基金)は2020年の世界GDP(国内総生産)成長率を▲4.4%(2019年+2.8%)と予測しています。実際、感染拡大の影響が大きかったと見られる4-6月期GDPは米国が前期比年率▲31.4%、日本が同▲29.2%、ユーロ圏が同▲39.2%と大きく落ち込む結果となりました。7-9月期にはいずれの国・地域も大きな反動増となりましたが、足元で『コロナ』感染拡大による経済活動制限が再び強化されつつある状況を考慮すると、本格的な復調は2021年以降になると見られます。
【ポイント2】金融市場は強気な姿勢
一方、金融市場は実体経済と異なる動きを見せました。NYダウ(ダウ工業株30種平均)は2月下旬以降下落に転じました。しかし、3月23日に年初来安値(18,591.93ドル)をつけた後は上昇を継続し、11月24日には史上初となる3万ドル越えとなり、12月21日現在30,216.45ドルに達しています。各国・地域における大規模な金融緩和や財政政策への期待感に加え、『コロナ』ワクチン開発・普及による景気回復期待も、市場をけん引していると思われます。
【今後の展開】ワクチン普及の進展などにより緩やかな景気回復が期待
ロックダウンを受けてテレワークなど新しい経済活動の形態が浸透した点も『コロナ』時代の特徴と言えます。いわゆる巣ごもり需要が高まり、以前より拡大傾向にあったEC(イーコマース)の利用も『コロナ』を受けてより増加し、家計消費を支えました。足元で報道されている変異種などリスク要因には引き続き注意を要しますが、米国において大規模な追加経済対策成立が期待されていることもあり、2021年以降の緩やかな景気回復が予想されます。