PERだけ見て、割安割高を判断することはできない

 PERだけ見て、割安・割高を判断するのは、適切ではありません。PERの問題をよく理解した上で、PERを見る必要があります。

 それを説明するために、まず、個別銘柄のPERを、具体例に見てみましょう。

PERの低い銘柄群:2020年12月21日時点

大分類 業種分類 コード 銘柄名 PER
金融 銀行 8306 三菱UFJ FG 10.4倍
銀行 8316 三井住友 FG 10.9倍
資源関連 商社 8001 伊藤忠商事 10.8倍
石油精製 5020 ENEOS HD 13.1倍
情報通信 通信 9432 日本電信電話 11.5倍
通信 9433 KDDI 10.9倍
出所:PERは、2020年12月21日の株価を、今期予想1株当たり利益(会社予想)で割って計算。今期とは2021年3月期


 PERの高い銘柄群:2020年12月21日時点

大分類 業種分類 コード 銘柄名 PER
ネット関連 ITサービス 6098 リクルートHD 66.1倍
ネット通販 3064 MONOTARO 103.8倍
消費成長 衛生ケア製品 8113 ユニ・チャーム 47.3倍
アジア関連 衣料品小売 9983 ファーストリテイリング 51.9倍
製造業 ロボット 6954 ファナック 67.9倍
バイオ 医薬品 4519 中外製薬 41.1倍
出所:PERは、2020年12月21日の株価を、今期予想1株当たり利益(会社予想・下限)で割って計算。今期とはリクルートHD・ファナックは2021年3月期、ファーストリテイリングは2021年8月期、他は2020年12月期

 一方、リクルートHDのPERは66.1倍です。東証一部の平均と比較して割高に見えます。 上の表を見るとわかりますが、PERは、銘柄ごとにかなり開きがあります。三菱UFJ FGのPERは、わずか10.4倍です。東証一部全銘柄の平均PER(加重平均)が、約27倍であることを考えると、PERで見て、株価は割安と言えます。

 ただし、PERを単純に比較して、割安割高を判断するのには問題があります。PERはあくまでも、今期予想利益に対して、株価が何倍まで買われているか示しているだけです。