ファンダメンタルズにこだわったルールは逆に危険
筆者の周りの個人投資家を見る限り、売買のルールを明確に持っていない人は、株式投資で成功できていないことが多いです。逆に、いわゆる「億り人」と呼ばれる成功者は、例外なく売買のルールを持っています。
なぜ売買のルールが必要かといえば、仮にルールがないと、その時々のマーケットの状況に流されてしまい、買うべき局面でないのに買ってしまったり、売るべき局面でないのに売ってしまう、もしくは売るべき局面にもかかわらず持ち続けてしまうことになるからです。その結果、利益を伸ばすことができない、含み損をかかえた塩漬け株を生じさせてしまう、という状態につながってしまいます。
では、ルールであれば何でもよいかといえば、筆者はそうは思いません。特に個人投資家であれば、ファンダメンタルズにこだわったルールではなく、テクニカルに沿ったルールが望ましいと強く感じます。
例えば、ファンダメンタルズによるルールの一つとして、「買った時の根拠が崩れたら売る」というものがあります。「この株は今後も増収増益が続く見込みが高い」として買うような場合です。この根拠が崩れるようなとき、具体的には企業から業績予想の下方修正が発表され、増収増益が続かないと明らかになったときに売ればよい、というものです。
ところが、実際にこの方法でやってみると、大きな損失につながる可能性が少なくありません。企業側から増収増益が続かないと発表があったときには、すでに株価は大きく値下がりしていることが多いからです。企業側が正式に業績の下方修正を発表する前から、プロの投資家たちは業績が伸び悩むことを分かっていて、株を売り始めているのです。
もし、25日移動平均線を割り込んだら売却、というように株価チャートを用いたテクニカルでの売買ルールを用いれば、仮にプロ投資家が業績悪化を察知して売り始めたのであれば、下落の初期段階で25日移動平均線を割り込み、早期に売却することができるのです。
もちろん、常にこうなるわけではありませんが、筆者の経験上、業績の下方修正が出される銘柄は、それより前に株価が下がり始めていることが多いのです。