「アフタービジネス型」と「プラットフォーム型」に着目!

──「高成長」と「割安」についてはある程度、数字で判断できると思いますが、「ビジネスモデル」はそうはいかないですよね。「ビジネスモデル」のところをもう少し詳しくお伺いできますか。

 どういう企業が伸びるかと聞くと、多くの人は商品力や技術力、マーケティング力などを挙げます。もちろんそれらは重要な要素です。しかし、優れた商品や技術を有していれば高収益をあげられるかというと、必ずしもそうとは限りません。

 例えばかつてビデオテープの規格をめぐり、ベータ陣営とVHS陣営が激しい攻防戦を繰り広げました。結果はVHS陣営が圧勝するわけですが、では、ベータよりVHSのほうが製品として優れていたかというとそうではありません。むしろ技術的にはベータのほうが勝っていたと言われます。それでもVHS陣営が勝利できたのは、競争の中盤でシェアがベータを上回ったことでいわゆる「ネットワーク効果」が追い風になったからです。一度シェアが上になると、街のレンタルビデオ屋さんなどもVHSしか置かなくなり、ベータは買いづらくなります。そしてVHSのシェアが増えるとさらに追い風になるという循環に入ったのです。このネットワーク効果は想像以上に強力で最終的にVHSとベータのシェアは100対0になりました。

──ビジネスの世界ではそういうことが往々にしてあると。

 そう。ですから商品力や技術力だけで判断するのは危険ですね。

──では、どのようなビジネスモデルをもつ企業が強いのか、いくつか例を挙げてもらえますか。

 僕は企業経営のプロではないので、参考程度に聞いてほしいのですが、一つは「アフタービジネス型」。つまり、売って終わりではなく、売った後も何らかの形でお金が入ってくるビジネスです。本体を売った後もインクで稼げるプリンター、通信料で稼げる携帯電話などが挙げられます。

──定期的なメンテナンスが必要な商品なども当てはまりそうですね。

 おっしゃる通りです。とくにエレベーターなど特殊な機械の場合、製造元または関連業者でないと、点検や修理ができません。だから、販売会社は強気な販売戦略ができるわけです。

──労せずともお金が入ってくる仕組みが出来上がっている?

 そういうことです。この手のビジネスモデルを持っている企業はほぼ例外なく利益率が高く、営業利益率は10%を超えるのが普通です。

──ほかには?

 もう一つ挙げるとしたら「プラットフォーム型」です。ウェブサイト上などに不特定多数の人々が集まる場を設け、さまざまなサービスを展開することによって顧客の囲い込みを図るというもので、例えばECサイトなどが当てはまります。もちろん、顧客の囲い込みが進まないと頓挫することもありますが、一度軌道に乗ると、どんどん顧客が増え、それ自体が大きなアドバンテージになるため、そのまま1社独占状態に突き進むこともあります。そうなれば、当然、価格決定権を持てるので、大きな利益をもたらします。

──すぽさんご自身も「プラットフォーム型」企業に投資してます?

 もちろんです。一つ例を挙げると日本株に切り替えた当初、インフォマートという銘柄を保有していました。ここは当時、フード業界をメインにBtoBプラットフォームビジネスを展開していたのですが、顧客の囲い込みに成功すれば大化けすると思い、主力の一つに据えていました。当初は思ったように株価が上がってくれなかったのですが、それでも信じて持ち続けていたら、あるとき上昇に転じ、大きな利益を得ることができました。その後、売却しましたが、僕にとっては思い出深い銘柄になっています。

──「アフタービジネス型」も「プラットフォーム型」も探せば見つかりそうですね。

 はい、ぜひ探してみてほしいですね。