毎週金曜日夕方掲載
本レポートに掲載した銘柄:東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)、レーザーテック(6920)、TSMC(TSM)、AMD(AMD)、アプライド・マテリアルズ(AMAT)、ASML(ASML)、シノプシス(SNPS)、ソニー(6758)、アミューズ(4301)、東宝(9602)、NTT(9432)、日本電気(6701)、富士通(6702)
2021年の日米テクノロジー株5大テーマ | ||
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1 | 半導体:過去最大の半導体ブームにグローバル投資で臨みたい | |
2 | ゲーム:ソニーはPS5で究極のエンタテインメントを目指す | |
3 | エンタテインメント:配信は我らの文化を豊かにする | |
4 | 通信:NTTが仕掛ける価格競争 | |
5 | インターネット:アメリカ企業はバーチャルカンパニーを目指す? |
テーマ1:半導体-過去最大の半導体ブームにグローバル投資で臨みたい-
1.過去最大の半導体ブームが到来するだろう
今回は、年末恒例のトウシル企画の一環として、テクノロジー株投資の観点から見た2021年の5大テーマについて書きます。いつものようにセクターと企業を分析して株価を予想するのではなく、大きな流れから2021年の、あるいは今後数年間のテクノロジー株投資のテーマを論じたいと思います。そのため、私がカバーしていないセクター、分野についても書くことになります。
また、今私の頭の中にある、厳密な分析をする前の2021年のラフスケッチをお見せするため、読者の皆さんから見て独断偏見、誤解曲解もあると思います。読者の皆さんには、批判的に咀嚼していただきたいと思います。
まず、半導体からです。世界半導体出荷金額(3カ月移動平均)の動きを見ると、前回のブームは2018年10月にピークに達し、2019年4月に底を打ちました。そして、2019年11月まで小幅の上昇がありましたが、その後新型コロナ禍による不況の影響を受けて再び調整し、2020年6月に再び大底を打ちました。その後は、5Gスマホ、高性能パソコン、高性能サーバー、新型ゲーム機などに向けた高性能半導体(CPU、GPU、メモリ等)の増産により、本格的な再成長に向かっていると思われます(グラフ1)。
今回のブームもこれまで同様、過去最大のブームになると思われます。前回のピークをどの程度上回るのかはまだわかりませんが、過去最大のブームである前回ブームを上回るとすると、今回も相当大きなブームになると思われます。
今回のブームのけん引役は、前回ブームとあまり変わらないと思われます。5Gスマホ、インターネット・データセンターが前回同様大きな需要先ですが、それにテレワークの普及によって高性能パソコンが加わると思われます。また、新型ゲーム機(PS5、Xbox series X/S)とそれらのソフトを製作する際に使う画像処理用パソコンが半導体の需要先として重要になると思われます。
ただし、自動運転(人手をほとんど介さない完全自動運転)や工場の完全自動化に関連する高性能半導体(高性能AIを駆動するもの)が半導体市場のけん引役の一つになるのは、次のブームになると思われます。これは完全自動運転と工場の自動化が難しいテーマだからです。逆に半導体にはまだまだ大きいテーマがあると言えます。
グラフ1 世界半導体出荷金額(3カ月移動平均)
2.もともとグローバルな半導体セクターに対してグローバル投資で臨みたい
このように2021年の半導体市場は飛躍の年となりそうです。この大きな動きを、日本株だけでなく、グローバル投資で獲得したいと思います。
というのは、日本の半導体関連株には偏りがあるからです。日本の強みは半導体製造装置と半導体素材です。しかし、半導体セクターの代表格である大手デバイスメーカーは日本にはキオクシア(旧東芝メモリ、未上場)しかありません。TSMCは台湾、サムスンは韓国、インテルはアメリカの会社です。特にアメリカにはAMD、エヌビディア、テキサス・インスツルメンツなどの大手デバイスメーカーが集まっています。
また、半導体製造装置では、日本には東京エレクトロン、アドバンテスト、レーザーテックのような素晴らしい会社がありますが、海外にも、世界で唯一のEUV露光装置メーカー、ASML(オランダ)、世界最大の半導体製造装置メーカー、アプライド・マテリアルズ(アメリカ)、世界最大の半導体検査装置メーカー、KLAなどの有力メーカーがあります。
また、ロジック半導体の設計に不可欠なEDA(エレクトロニック・デザイン・オートメーション。半導体の自動設計システム)は、シノプシス、ケイデンス・デザイン・システムズ、メンター・グラフィックス(未上場)のアメリカ企業3社が高いシェアを持っています。特に上場企業のシノプシス、ケイデンス・デザイン・システムズの2社のソフトウェアラインナップが優秀と言われています。
このように、半導体ブームの投資成果を存分に獲得するには、グローバル投資、特に、日本株とアメリカ上場株への投資が重要になってくると思われます。表1は半導体セクターの中で日本株とアメリカ上場株を比較したものです。日本株とアメリカ上場株を組み合わせて投資してみたいと思います。