IPOして間もない会社のほうが10倍になりやすい

 投資家向けの新聞「インベスターズ・ビジネス・デイリー」紙の創設者、ウイリアム・オニールによると、ある上場企業の株価上昇の大部分は、IPOしてから数年以内に達成されてしまうことが多いのだそうです。したがって10倍株を探すならIPOして間もない会社にフォーカスしたほうが良いということになります。

最重要なのは決算!

 しかし、10倍株にぶち当たるために必ず投資家が励行しなければいけない大事なルールがあります。それは3カ月に1回発表される四半期決算をちゃんと精査するということです。

 王道のやり方は、コンセンサス予想を(1)EPS (1株当たり利益)、(2)売上高、(3)来期以降のガイダンスのそれぞれが上回っていたか? をチェックすることです。この3つの項目をすべてクリアした決算だけが「良い決算」と言えます。このうち一つでも取りこぼしたら、それは「悪い決算」です。

 なお、ガイダンスとは会社の財務部長による、来期、ならびに今年通年のEPS、売上高予想を指します。

 では、なぜ「良い決算」である必要があるのでしょうか?

 その理由はカンタンです。「良い決算」では、実際の結果が予想より大きな数字で入ってくるのに加えて、財務部長が今後の予想数字を上方に誘導しているわけですから、アナリストとしては「実績」ならびに「未来」の両方の数字を上方修正する必要があるからです。もっと平たい言い方をすれば、コンセンサス予想がジワジワ上昇するということです。

 一般に株式は良いニュースや悪いニュースをどんどん織り込み、株価に反映させていくものだと信じられています。この仮説が正しいのなら、予想数字がジワジワ上昇するということは株価が上昇することに他ならないわけで、「良い決算」=おのずと今後株価が上がる理由を含んでいると考えるのは、極めて自然なことです。

ワクワクするストーリーに目を奪われるな

 ここで重要なのはワクワクする投資テーマ、素晴らしい製品、画期的なサービスなど、我々が目を奪われがちなストーリーは、よく考えればこの世の中には掃いて捨てるほどあるということです。そんなものには何の価値もありません!

 本当に希少価値があるのは、来る決算、来る決算、必ず投資家の期待に応え、「良い決算」を出し続けることができる会社です。そのような銘柄は、本当に一握りしかありません! 10倍株になるのは、そのような銘柄だけです。