NISAを利用して投資信託を買ったつもりが……

 先日、資産運用をしているお客さまから、こんなご相談を受けました。

「投資信託をNISAで購入したつもりが、一般口座で買ってしまっていました。どうしたらよいのでしょうか?」

「あらあら、それは少し面倒なことになりましたね。今の損益はどうなっていますか?」

……これ、実はよくありがちなミスです。

 ところでみなさんは、「特定口座」「一般口座」「NISA」の違いって、どれくらいご存じでしょうか?

 そこで、証券口座の種類と税金の関係をよく理解していただくため、整理したいと思います。まず、話をシンプルにするために、投資信託を売買して利益が出たケースで考えてみましょう。

 保有している投資信託を売却して利益が出た場合、税金を払う必要がありますが、その税率は2020年現在、所得税、住民税合わせて20.315%です。原則、確定申告をして納税することになりますが、証券口座の種類により、するべきことが異なります。

 

「特定口座」のメリットは?

 まず証券口座を開設する際、「特定口座」を開設するかしないか、選択することになります。この「特定口座」の意味はご存じでしょうか?

「特定口座」の最大のメリットは、損益の計算をする手間が省けること。特定口座を開設した場合、証券会社が年間の損益を計算して「年間取引報告書」を発行してくれるため、これを税務署に提出すれば、確定申告の際、自分で損益の計算をする手間が省けます(申告書の作成は必要です)。

 

「一般口座」は自分で損益計算しなければならない

 一方、「一般口座」で投資信託を売買して利益が出た場合には、自分で損益を計算して確定申告する必要があり、慣れていないと大変です。

 特に投資初心者には、この手続きのハードルは高いものです。もし口座開設時に「特定口座」にしていなかった場合、後日、開設できるので、手続きすることをオススメします。

 なお、保有中の投資信託が値上がりして「含み益」が出ていても、売却して利益が確定するまでは課税されません。

 

「NISA」は非課税枠

 また、投資信託を売買して出た利益を、一定期間、非課税にしてくれるのがNISA(少額投資非課税資制度)という制度です。

 ネット証券では、投信信託の買い付け注文をする場合、「特定」「一般」「NISA」を選択する画面が表示されますが、NISAを利用する場合は、このとき「NISA」を選びます。うっかり間違って、希望しない口座を選択しないように注意しましょう。ただし、NISA口座の中で損が出た場合、他で出た利益を損益通算ができないことは覚えておきましょう。