世界市場ではクリーンエネルギー株が優勢を持続

 世界市場では再生可能エネルギーを中心とするクリーンエネルギー株(環境関連株)が優勢となっています。世界のクリーンエネルギー関連株で構成されるS&Pグローバル・クリーン・エネルギー指数は本年夏以降に堅調を鮮明にしてきました(図表2)。

 同指数は、米国S&P社が提供するグローバル株価指数の一種で、世界のクリーンエネルギー業界の中から、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオ燃料(バイオマス)などの分野で流動性が高い30銘柄を構成銘柄にしています。

 2月から3月の「コロナ危機」では下落を余儀なくされましたが、「温暖化ガスの排出削減」に向けた動きが世界で強まるなか、大統領選挙動向で「バイデン民主党候補の優勢」が鮮明となった夏ごろから堅調傾向をたどりました。

 トランプ大統領(現職)は、2017年就任当初から「パリ協定」(2015年に採択された地球温暖化対策を巡る国際的枠組み)から離脱することを表明。米国の石油・シェールオイル・石炭産業を支援するためにエネルギー関連規制を緩和しました。

 大統領選挙で当選を確実にしたバイデン候補は「パリ協定への復帰」を公約に掲げ、「グリーン・リカバリー」と呼ばれる経済再生計画を表明。「2035年までに発電分野で脱炭素(実質ゼロ)を目指す」、「環境・インフラ部門に4年で過去最大規模の2兆ドルの投資を実施する」と述べてきました。

<図表2>世界でクリーンエネルギー株式の優勢が続く

出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2019年11月初~2020年11月11日)

 2021年1月に発足するバイデン政権が「パリ協定復帰」を果たせば、再生可能(代替)エネルギーの活用やEV(電気自動車)に関連した投資が進む可能性があります。

 こうした機運を反映し、S&Pグローバル・クリーン・エネルギー指数の期間別騰落率は、3カ月前比で+36.4%、年初来で+84.6%、1年前比では+103.8%と米国株式平均(S&P500指数)を大きく上回っています(11月11日時点)。

「新大統領誕生」をカタリスト(契機)に、新年(2021年)もクリーンエネルギー株や環境関連株が注目度を高めていく可能性が高いと考えられます。