投資家のキモチ ケース2

先生:次は、二人に100万円持っている気分になってもらおうかな。
ひな:ひゃ、ひゃくまんえん!
先生:今日から1カ月後までに、100万円全部を投資してくれる? ただし1カ月の間なら、いつ買ってもいいの。

しんた:1カ月で100万円…。今日買っても、明日上がるかもしれないし。
ひな:下がるかもしれないね。
しんた:ちょっと下がったところで買っても…。

ひな:やっぱりその後、上がるかもしれないし、下がるかもしれない。
しんた:どこで買えばいいか、迷うよ~どうしよう。

ひな:決めた! わたしは1カ月の最初と真ん中に半分ずつ、買います!

しんた:そっか、分散投資(参考:長期投資の買い時。一発勝負VS時間分散)! じゃあ、ぼくは25万円ずつ、4回に分けて毎週買おう。
先生:そうそう。それが普通。1日5万円ずつ、20回でもいいからね。

ひな:なるほど。ちょっと難しいけど、いったん決めてしまえばやりやすいかも。

先生:じゃ、次ね。100万円の投資が終わって、しばらく経過しました。いつになったら売りますか?

しんた:もちろん、利益が出たら!…って、そっか。「どれくらい」利益が出たら売るのか、決めておかなきゃ。
ひな:「決め」が大事だよね。う~ん。どうしよう。

先生:2018年の日経平均株価では、3月に買ってたら、どれくらい利益を確定できそうだったっけ?
しんた:えっと…確か、5%か10%くらいは利益が確定できそう!って言ってた気がします。

ひな:じゃあ、わたし、5%利益が出たら売ることにします。よく分からないから。
しんた:ぼくは8%! 5%と10%の間、ってことで。

先生:じゃ、しんた君、まずはシミュレーション第1回。投資してからしばらくして、今日は8.1%の利益が出る水準になりました。今日は売りますか?

しんた:売ります! 

先生:では、シミュレーション第2回。今日は7.9%の利益が出る水準でした。今日は売りますか?

しんた:売りません!

先生:では、シミュレーション第3回。昨日は7.9%の利益が出る水準だったので売りませんでしたが、今日は5%の利益が出る水準まで下がりました。今日は売りますか?

しんた:うーん…。それは…。

ひな:あれ? さっきまでの勢いがなくなってきたよ?

しんた:下がった理由にもよります。ずっと下がりそうだったら、5%でいいから利益確定したいし、特に材料がなければ8%まで持っていたいし…。

先生:では、シミュレーション第4回。100万円の投資が終わった翌日から下げて、今日は3%の損失が出る水準でした。今日は売りますか?

しんた:むむむ。マイナスなんかじゃ、売りません!

先生:では、シミュレーション第5回。そのまま持っていたら、1週間後に5%の損失が出る水準になりました。今日は売りますか?

しんた:うーん…。それは…。

ひな:しんた君、大丈夫?

しんた:先生、やっぱ、売りって難しいですね。「売ったほうがいいかも」って思っても、決断するは大変です…。

ひな:確かに。特に、損失が出ているときに売りの判断するのって、勇気がいる。

先生:二人とも、売りが難しいわけが少しは分かってくれた?
二人:分かりました!