投資信託に慣れたらETFにトライしてみよう

──その点、投資信託なら、特別な知識はいらないのでしょうか?

 知識ゼロでOK!とは言いません。例えば投資信託を購入するときには、どれくらい手数料がかかるのか、中身がどんな銘柄を組み合わせた商品なのか、などの、手続きや商品の基本知識をチェックすることは必要です。ただ、それは、証券会社のページや記事などを読めば理解できます。初心者だとしても、そこを飛ばしてはいけません(笑)。

 ただ、それでもインデックス投資なら、個別株よりも、気を付けるべき部分がいくぶん少なくはなると思います。

──投資信託を買ったら、次はETF(上場投資信託)に挑戦することを勧めていらっしゃいますね。投資信託の次は個別株を検討する人も多いと思うのですが、たりたり社長さんが、次のステップとしてETFを推す理由を教えてください。

 投資信託(ここではアクティブファンドでなくインデックスファンドに限定して話しますが)は、日本ではいえば日経平均株価やTOPIX、米国でいえばダウ平均やS&P500といった株式指数に連動した金融商品ですが、その点はETFも一緒です。だから、ETFも個別株に比べたらリスクは少ないし、企業分析などの必要はありません。ただし、ETFは取引所に上場している商品なので、リアルタイムで株価が変動するなど、個別株投資の要素を併せ持っています。

──つまり、個別株投資の練習になるということですね?

 そう思っています。おそらくトウシルの読者の中には「自分は投資信託の積み立てで十分」「個別株も興味はあるけど、勉強が難しそうで自分には無理」と思っている方も少なくないと思います。そういう方にとっては、「投資信託一筋!」という手法もアリだと思います。ただ、投資信託に慣れてきて、「やっぱり個別株にチャレンジしてみたい…」と思い始めた人にとって、個別株を始める前のステップとして、ETFにトライすることを私は提案したいのです。

 日本の代表的なETFには商品として、「東証株価指数(TOPIX)」に連動するETFがあります。TOPIXとは、東京証券取引所によって発表される、東証第1部の全銘柄の動きを反映した株価指数のこと。このTOPIXに連動するETFは、TOPIXの値動きとほぼ同じ値動きをします。よって、個別株を単独で購入するよりも、価格の急変が起こりにくいのが魅力です。

 1社の株価は1日に10%以上、上下することもありますが、1,500社を合わせたTOPIXなら平均化されるので、結果的に株価の変動がマイルドになります。

──リスクが怖い人は、どうしても値動きがおとなしい投資信託の枠から飛び出す勇気が持てないですよね。

 はい。投資信託の場合、値動きは1日1回だけ、基準価額が算出されるので刻々と価格が変わるわけではありません。それに対してETFは、普通の株と同じように、市場が開いている間は、政治経済や企業情報、ニュースなど、いろんな影響を受けながらリアルタイムで株価が変動します。しかし、個別株よりは安定感がある。だから、ETFを保有していると、リスクを感じすぎない状態で、個別株投資の醍醐味(だいごみ)の一端に触れることができると思うんです。

 例えば、先日の安倍首相の辞任報道がニュースになったタイミングでは、日経平均株価が一瞬で2%下落し、その後少しずつ値を戻しました。投資信託への投資だけでは、そのような「一瞬で株価が大きく動き、そのあと回復する」という経験はできません。投資信託は買っているけれど「投資してる感がイマイチ実感できない」…と思い始めた方は、ぜひETFを検討してみてほしいですね。