価格推移:新型コロナショックから続いた上昇は一服。長期的にはまだトレンド維持か

 以下のとおり、ビットコイン、イーサリアムでみられた、新型コロナショック後に起きた価格上昇は、9月上旬で一服したように見えます。

図:ビットコインとイーサリアムの価格推移 単位:円

出所:楽天ウォレットのデータをもとに筆者作成

 先述のとおり、9月上旬、ハイテク株が急落したことを機に起きたミニショックで、イーサリアムは下落、同じ暗号資産で、同カテゴリのメイン銘柄のビットコインも下落しました。9月25日時点で、ビットコイン価格は約112万円、イーサリアム価格は約3万6,000円です。

 今後の動向を考える上でのポイントは、引き続き、暗号資産と貴金属などの“無国籍資産”が買われるかどうか、だと、筆者は考えています。無国籍資産が買われる条件は、さまざまなものがありますが、

(1)無国籍資産以外の資産を保有する妙味が低下し、相対的に無国籍資産を保有する妙味が増す

(2)無国籍かどうかを問わず、幅広いジャンルの資産は買われる

などのパターンがあります。

(1)については、相対的な話で、無国籍資産以外の資産を保有する妙味が低下する時、例えば、ドル安や株安が目立つ時です。このような状況は、世界の基軸通貨であるドルや、金融商品の王道である株など、何か、誰かに依存する金融商品を保有する妙味が低下している状態です。超低金利や株安が長期間継続する、あるいは今後それらが継続することが濃厚になった状態です。

(2)については、幅広いジャンルの資産が買われる状態の中で、その中の一つである無国籍資産も買われる、パターンです。新型コロナショックから各種市場が回復していった、今年4月から6月ごろがおおむねそれにあたります。

(1)や(2)のケースは、比較的、無国籍資産は買われやすくなると、考えられます。もちろん、無国籍資産以外が買われ、相対的に無国籍資産が売られることもありますし(1の逆)、幅広い市場が強い悲観的なムードで覆われる“総売り”が起きることもあります(2の逆)。