本当に期待できる「スガノミクス」銘柄は?

 例えば、デジタル庁関連銘柄として注目されているIT bookホールディングス(マ:1447)の株価がなぜ大きく上昇したのかといえば、同社が行政に対して、マイナンバー対応などのコンサルティング業務を行っており、直接的な恩恵が期待できると市場が考えたからです。

図2:IT bookホールディングス(マ:1447)の日足チャート

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 実際のところ、同社がどこまで業績を伸ばせるかは分かりません。このように政策の恩恵を受けて収益の向上が見込まれそうなものが大きく値を伸ばしますが、その後の継続的な株価上昇は、企業の成長次第となります。

 ちなみに、同じデジタル庁関連で買われた銘柄にチェンジ(東1:3962)があります。

図3:チェンジ(東1:3962)の日足チャート

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 この会社は、子会社がふるさと納税サイトの運営をしている他、企業や公共団体などにIT技術人材の育成サービスやマイナンバーを使った行政サービスの提供を行っています。図3のチャートを見ると、株価がいったんの天井をつけたタイミングは図2のIT bookホールディングスと似ています。

 ただし、細かく分析していくと、チェンジの方がかなり以前から上昇基調を辿っていますし、上げ幅も大きくなっています。「マーケットスピードⅡ」の四季報情報などをチェックすれば分かるのですが、利益額の大きさやROE(自己資本利益率)の高さなどの面で、チェンジの方にやや優位性があります。前回も指摘した通り、ファンダメンタルズ分析の視点から、利益力など少しでも会社の中身が良いものを選ぶことが大切です。

 つまり、スガノミクス関連株で、同じように株価が上昇したといっても、中長期的な成長性を期待できそうな銘柄と、思惑で買われている銘柄が混在しているため、今後は絞り込みが行われていくことになります。