本日の注目通貨

ドル/円: 雇用統計の「Cheap Thrills」

 米国の雇用市場は、まるでどこかの国の証券取引所のように、突然停止したかと思ったら、瞬く間に再起動しました。今年2月までは半世紀ぶりの低失業率を謳歌していたのに、翌月には一気に戦後最悪の水準まで悪化したのは、コロナウイルスが米国の労働市場から3月と4月のわずか2カ月間で2,200万人もの職を奪ったからです。

 しかし、それを5月と6月のたった2カ月間で750万人も取り戻した。一度失業した人が、従来の景気サイクルでは起こりえないスピードで、仕事に戻っているのです。これまでの経済が経験してきたような「景気が段々良くなって、いつの間にかバブルが膨らんで、そして破裂してまた不況になる」といったアナログ的なサイクルとは異次元のことが起きているのです。

 8月の米労働市場は、失業者がさらに280万人減って1,360万人になりました。しかし、新型コロナ拡大前に比べると失業率はまだ780万人多い状況。もし、トランプ氏が「第2次世界大戦以降で任期の4年間に雇用を減らした初の大統領」という不名誉な称号を免れたいなら、あと2カ月で800万人、月平均で400万人の雇用が必要。もちろん、今月の予想を見る限りその可能性はゼロです。

 トランプ大統領は、共和党全国党大会のスピーチにおいて、2期目の政策目標について「10カ月で1,000万人の雇用創出」を公約に掲げました。

 つまり、トランプ大統領は、雇用を1年以内で元通りにすると宣言しているのです。10カ月で1,000万人ということは、「1カ月平均100万人」。これが、今後の雇用統計を判断する重要なベンチマークになるでしょう。

 今週のドル/円のピボット(ブルベア判断の分かれ目)は105.08円。105.08円より上ならばドル買い優勢、105.08円より下ならばドル売り優勢。28日のNY終値は105.35円。

108.16円 : 07月 高値 (07月01日)
108.09円 : 05月 高値 (05月19日)

107.86円 : 第3レジスタンス(HBO)
107.05円 : 08月 高値 (08月13日)

106.78円 : 第2レジスタンス
106.55円 : 09月 高値 (09月03日)
106.16円 : 第1レジスタンス

105.08円 : ピボット

104.47円 : 第1サポート
104.00円 : 09月 安値 (09月21日)

103.39円 : 第2サポート

102.77円 : 第3サポート(LBO)

101.17円 : 2020年安値(03月06日)

100.07円 : 2016年 09月 安値

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

09月 ドル/円 データ