Q4:投資にあって「これだけはやってはいけない」ということは何か?

 いくつかのレベルがあるが、第一に、自分が理解し納得できない商品に投資してはいけない。他人にも説明できるくらいに自分で理解したもの以外に対して、お金(あるいはリスク)を動かしてはいけない。

 第二の注意をあえていうと、「自分がアドバイスを求める専門家から運用商品を買ってはいけない」ということだ。

 銀行員に運用を相談してその銀行から運用商品を買う、という形だと、この銀行員は、忠実で正直なアドバイザーとして機能し得ない。証券マンでも同様だし、金融仲介業を営むFP(ファイナンシャル・プランナー)も同様だ。

【補足】
 2009年の「インデックス投資ナイト」を前に、主催者から投げかけられた事前質問に詳しく回答するつもりで書いた原稿だ。

 リスク資産は「外国株6割+国内株2割」、無リスク資産として「個人向け国債変動金利型10年満期」という組み合わせは基本的に現在も変わっていないし、述べている内容は現在も違和感がない。その後、MRFが利用できなくなったり、通常の公募投信の信託報酬がETF並み、あるいはさらに下がっていること、さらにNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)の拡張など、環境の変化があるが、2009年当時の考え方の延長線上で処理できたはずだ。

「もう少し運用を楽しんでみたい人には、個人的に日本株については、株価が大きく下がった株(東証1部で、株価100円以下の銘柄)を数十銘柄まとめて買うのがいいと思っている」と大胆なことを書いているが、執筆時点の2009年の1月は7,000円台の日経平均が見られた時だから、実践してくれた人がいたら、随分儲(もう)かったのではないか、などとさまざまに懐かしい。

 今も昔も、「よく分散された、低回転率、低コストなポートフォリオ」があれば、これに投資すればいいという基本は変わらない。対象は必ずしも有名インデックスでなくてもいい。(2020年9月10日 山崎元)