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自動車セクターの近況
広瀬 隆雄
わかりやすいグローバル投資レポート
グローバル投資に精通する広瀬隆雄氏に、新興国株式だけでなく、米国株、欧州株をはじめとする先進国株式など、海外全般の経済や投資ストラテジーをご紹介いただきます。

自動車セクターの近況

2017/10/5
1. 米国の自動車販売には、すこしかげりが見えている
2. 中国がEV奨励策を打ち出した
3. ゼネラル・モーターズはEV、自動運転車で先行している
4. フォードはそれらの分野で立ち遅れている
5. フィアット・クライスラーの経営は迷走している
6. テスラ・モーターズはモデル3の生産が遅れている
7. フェラーリは自動車メーカー中、最も儲かっている
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■自動車販売動向

 米国の自動車販売には、すこしかげりが見えています。

 

 その理由は好景気が長く続き、リーマンショック以降積み上がっていた「待機」需要が、ほぼ充足されたことやここ2年ほど顕著だったディーラーの値引き合戦で、将来の需要が先食いされたことなどによると思います。

 さらに米国で特に人気のあるピックアップ・トラックのカテゴリーでは、各社がニュー・モデルを発表し、それらに対する需要が一巡したことも指摘できます。

 

■中国がEV奨励政策を打ち出した

 さて、先日、中国政府が、年間3万台以上生産している自動車メーカーに対し、一定の割合でEVを生産してゆくことを義務付ける新ルールを発表しました。全生産高に占めるEV比率は、今後引き上げられていきます。

 下のチャートのように、すでに中国は世界最大の自動車市場となっています。

 

 

 したがって中国政府がEVを強力に奨励すると、世界のメーカーもそれに追従せざるを得なくなります。

 このニュースを受けて、世界の自動車メーカーの中で、EVや自動運転車の開発が進んでいる企業が株式市場で再評価される動きが出ました。その代表的なメーカーは、ゼネラル・モーターズです。

 

■ゼネラル・モーターズ

 ゼネラル・モーターズ(ティッカーシンボル:GM)の自動運転車は、他社に先行しており、会社側は「向こう1年以内に実用化できる」としています。

 EVではシボレー部門が「VOLT」をすでに販売していますが、1年半以内にさらに2種類の新しいEVを発表する計画です。また2023年までに20種類のEVを発表したい考えです。

 GMの足下の業績に目を転じると、9月の前年同月比+12.0%の販売台数は27.9万台でした。内訳はクロスオーバーが+43%、ピックアップ・トラックが+10%、乗用車が-11%でした。第3四半期の在庫は-16万台でした。GMの在庫ターゲットは85万台を目指しています。

 下はゼネラル・モーターズの一株当たりの業績です。

 

【略号の読み方】
DPS 一株当たり配当
EPS 一株当たり利益
CFPS 一株当たり営業キャッシュフロー
SPS 一株当たり売上高

 最後に、テキサス州を襲ったハリケーン・ハービーで、たくさんの自動車が水没し、ピックアップ・トラックを中心に買い替え需要が見込まれます。GMはピックアップ・トラックに強いのでとりわけ恩恵を受けると見られています。

 

■フォード・モーター

 フォード・モーター(ティッカーシンボル:F)のEV戦略は遅れています。

 このためフォードは、つい先日、企業戦略の大幅な見直しを発表しました。

 抜本的な生産性の向上により2022年までに製造コストを半減する計画です。具体的には素材コストを100億ドル削減、エンジニアリング・コストも40億ドル削減したいとしています。部品の共有化を進め、プロトタイプの生産数を減らしていく考えのようです。

 エンジンへの設備投資は33%削減し、それで浮いた資金をEV開発へ回します。これは既に発表されている45億ドルのEV開発予算に加算されます。

 自動運転車への投資も拡大し、コネクテッド・カーならびにスマート・カーを企業戦略の中心に据えます。2019年までにフォードの新車の100%がコネクティビティを完備することを目指します。

 海外では中国市場に積極展開してゆく考えです。一例として「フォーカス」は中国のみで生産していきます。

 フォードの足下の業績を見ると、9月の販売台数は前年同月比+8.7%の22.2万台でした。

 同社の過去3年の業績は下のチャートのようになっています。

 

 なお、フォードの場合もGM同様、ハリケーン・ハービーによる買い替え需要が見込まれます。

 

■フィアット・クライスラー

 フィアット・クライスラー(ティッカーシンボル:FCAU)は経営が迷走中です。

 9月の販売台数は前年同月比-10.0%の17.4万台でした。同社はレンタカーへの販売を減らす方針を取っており、今月のレンタカー向け売上高は前年比-41%の2.7万台でした。

 過去3年の一株当たり売上高は、毎年前年比でマイナスを記録しています。

 フィアット・クライスラーには身売りの噂があるほか、「マセラティならびにアルファロメオ部門を処分するのではないか?」という観測もあります。

 

■テスラ・モーターズ

 テスラ・モーターズ(ティッカーシンボル:TSLA)はEV専業メーカーです。

 先日発表された第3四半期の納車台数は、前年同期比+4.5%の2万6千台にとどまりました。内訳はモデルSが1.4万台、モデルXが1.29万台、モデル3が220台。

 とりわけモデル3の納車は、当初ガイダンスを大幅に下回りました。生産のボトルネックが生じたことが原因のよう。会社側は「特に深刻な問題があるわけではない」と強調していました。

 下はテスラ・モーターズの過去3年の一株当たりの業績のチャートです。

 

 

■フェラーリ

 フェラーリ(ティッカーシンボル:RACE)は自動車メーカーの中では抜きん出て業績が良いです。これはブランド力を背景に莫大なプレミアム価格で販売できることによります。

 8月2日に発表された第2四半期決算ではEPSが予想0.68ユーロに対し0.72ユーロ、売上高が予想9.18億ユーロに対し9.2億ユーロ、売上高成長率は前年比+13.4%でした。

 2017年の納車ガイダンスは8,400台で、変更はありませんでした。

 来年早々に次の4カ年計画が公表されると思われますが、そこでは年間納車台数を現在の2倍近い1.5万台に持って行くことが発表されるという観測があります。

 目先の経営戦略としては、2017年秋に「カリフォルニア」を更新するとともにスペシャル・エディションを増やしてゆく計画です。

 下がフェラーリの過去3年の一株当たりの業績です。

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