米経済回復で注目の景気循環株
タペストリー
タペストリー(TPR)はラグジュアリー・グッズのブランドで「コーチ」「ケイトスペード」「スチュワート・ワイツマン」を傘下に持っています。
同社はかつて極めて高い営業キャッシュフロー比率を誇る、財務的にとてもしっかりした会社でした。
しかし、ハンドバッグ市場の魅力に気がついたライバル企業が続々と新規参入してきたにもかかわらず、手をこまねいていたことや、経営トップの行状を巡る疑惑など、放漫経営がたたり、近年は株価が低迷しています。
CEO(最高経営責任者)が辞任後、現在は暫定CEOの下、実質的に各ブランドの責任者が最終的な意思決定の実権を握り、現場の判断で経営の立て直しが推し進められています。折からの新型コロナ影響で、過去に例がないほど経営環境は厳しいものの、これがかえって改革の断行をしやすくしており、各事業部ともに在庫を大幅に減らす、商品点数をバッサリ減らし、売れ筋商品だけに絞り込む、値引きを止めるなどの新方針を打ち出しています。
「ケイトスペード」ではブランド・アイデンティティーを取り戻すことを目指しています。具体的には色、実用性、楽しさ、楽観主義などを体現するブランドであることを再強調していきます。それとの絡みでノベルティー商品が最近伸びています。ここ数カ月でインスタグラムのエンゲージメントが25%向上しました。
「スチュワート・ワイツマン」では同ブランドの特徴である履き心地の良さ、クオリティーの高さの面で、評判を取り戻すことを主眼に置いています。
タペストリーの第4四半期(6月期)決算はEPS(1株当たり利益)が予想▲61セントに対し▲25セント、売上高が予想6.75億ドルに対し7.15億ドル、売上高成長率は前年同期比▲52.8%でした。売り上げトレンドは6月から7月にかけて尻上がりに改善しています。同社はデジタル戦略にとりわけ力を入れています。