9月は「通貨大乱の月」

 9月は、このコラムで毎年紹介していますが、「通貨大乱の月」として警戒する月と思っています。

 1985年のプラザ合意、1992年欧州通貨危機、2001年米国同時多発テロ、2008年リーマン・ショックと、為替市場を大きく揺るがす歴史的大事件が9月に発生しました。このように為替市場が大混乱になったことから「通貨大乱の9月」と呼んでいます。毎年9月に何かが起こるということではないのですが、その時の経験が体に染み付いており、9月はいつもマーケットに対して緊張して臨む月となっています。

 9月のこれらの大事件は、1985年のプラザ合意や2001年の米国同時多発テロのように突然発生する事件もあれば、欧州通貨危機やリーマン・ショックのように、事件が発生する前からその兆候が見られた事件もありました。

 今年の9月はどうでしょうか。米中対立激化が懸念されますが、まだ、一触即発という状況ではありません。しかし、突発的な出来事は予測できませんが、米国が違法と断じた南シナ海や香港、その次に警戒されている台湾海峡で軍事的緊張が起こるシナリオも想定しておいた方がよいかもしれません。日本の政治空白を狙った北朝鮮や東アジアの動きも警戒する必要がありそうです。

 9月は、7日の米国祝日レーバーデイ明けの米国追加経済対策の動向も注目点です。雇用はいまだ回復しておらず、失業給付金の上乗せも大統領令で延長となりましたが、大半の州ではまだ開始されていない状況です。そのため、米議会の休会明け以降(9月8日:米国上院議会再開、9月14日:米国下院議会再開)に追加経済対策がまとまることが期待されていますが、与野党の溝が埋まらず、平行線が続く可能性もあります。これから大統領候補の討論会など米大統領選が本格化する中で与野党が歩み寄ることがますます難しくなることが予想されるからです。議論の平行線は市場に冷や水を浴びせる可能性があり、注意する必要があります。

9月の主要日程
9月7日 米国祝日レーバーデイ
9月8日 米国上院議会再開
9月10日 ECB(欧州中央銀行)理事会
9月14日 米国下院議会再開
9月15~16日 FOMC
9月16~17日 日銀金融政策決定会合