ユーロ/ドル:利上げしないFRBと、利下げしないECB

 今、マーケットが注目しているのは、ドル/円ではなくユーロ。

 1日のユーロは対ドルでは2018年5月以来、約2年4カ月ぶりの高値となる1.2010ドルをつけました。ただその後は大きな節目である1.20ドルを攻略した達成感から1.1901ドルまで押し戻されています。たしかに高値警戒感もでてきましたが、ユーロの上昇余地はまだあると考えるトレーダーは多い。

 この日ユーロ圏の経済指標が発表されたのですが、8月のインフレ率は前年比▲0.2%となり、2016年以来のマイナス。ところが、ECB(欧州中央銀行)のシュナーベル理事(ドイツ)は、欧州経済は期待通りに立ち直っているとの見解を示し、「ECBが政策を(さらに緩和方向に)変更する必要はない」と発言しています。

 この考えはFRBとは対照的です。パウエル議長は、先週のジャクソンホールで、米国のインフレが上昇しても、すぐに利上げすることはない、と強い緩和政姿勢を明らかにしているからです。

 インフレ率が上がっても利上げしないFRBと、インフレ率が下がっても利下げしないECB。この政策の方向性の「かい離」が、ユーロ高はこれからだと考える理由です。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

08月 ドル/円 データ