13日の日経平均は、前日比56円高の16,729円でした。9月に米利上げはないとの見方が広がり、12日のNYダウが239ドル高と反発した流れを受け、日経平均も反発しました。

13日のNYダウは、原油先物の下落を嫌気して、258ドル安となりました。CME日経平均先物(12月限)は16,530円となりました。

13日のCME日経平均先物(12月限)は、東京市場の日経平均終値よりも、約200円低い水準で引けていますが、これは、日経平均が200円安く始まることを示唆するものではありません。日経平均先物(12月限)の理論値は、現在は、日経平均より130円低い水準にあります。200円低い水準で引けているということは、理論値よりも70円低いということになります。CME日経平均先物の示唆する水準で今日の日経平均が始まると仮定すると、今日は70円安で始まることになります。

今日は、9月13日から27日までの間、日経平均先物を見るときの、注意点を説明します。なお、ドル円為替は、日本時間14日の午前6時現在、1ドル102.55円でした。

(1)日経平均先物12月限の理論値は9月27日まで、日経平均より130円低い

今日の説明は、やや難解かもしれません。最初に、結論を述べます。赤で書いた結論だけ覚えておいていただければ、後半の説明まで、全部わからなくても問題ありません。

<結論①>日経平均先物12月限の理論値は、9月27日までは、日経平均(現物)の値を約130円下回る。その間、先物12月限が日経平均より130円低い水準にあっても、それは、先安感を表しているのではない。理論値通りに値がついているだけである。

<結論②>日経平均先物12月限の理論値は、9月28日以降は、日経平均(現物)とほぼ同値となる。9月28日以降は、先物12月限と日経平均は、ほぼ同じ価格で取引されることになる。

具体例で見てみましょう。

日経平均先物(12月限)と日経平均の終値とその差額:2016年9月9日-9月13日

  項 目 9月9日 9月12日 9月13日
日経平均先物(12月限) 16,860 16,540 16,600
日経平均 16,965.76 16,672.92 16,729.04
差額(①-②) ▲ 105.76 ▲ 132.92 ▲ 129.04

上の表を見るとわかる通り、現在、日経平均先物(12月限)は、いつも日経平均よりも100-130円低い水準にあります。上の表は、終値(日経平均は15時、先物は15時10分の値)を示していますが、終値だけでなく、日中の価格も、常に先物が現物を130円程度下回っています。

これを見て、「先物市場に先安感がある」と解釈する人がいますが、それは誤りです。先物(12月限)は、実際には、理論値通りに値がついているだけです。

(2)9月中間配当の権利落ち(予想額)は130円

現時点で、日経平均先物(12月限)は、日経平均(現物)よりも約130円価値が低いわけです。その理由は、9月中間決算での配当金にあります。

日経平均(現物)を保有していると、9月中間配当の権利落ち日(今年は9月)に、中間配当金を受け取る権利が得られます。ところが、日経平均先物(12月限)を保有していても、9月中間配当金を受け取る権利は得られません。

日経平均先物(12月限)は、12月8日まで取引が可能です。12月9日のSQ値(特別精算値)で精算されます。SQ値は、日経平均採用銘柄(225銘柄)の12月9日の初値を組み合わせて計算されます。

日経平均先物(12月限)を保有していると、12月9日の初値まで、日経平均(現物)の上昇下落をすべて同じだけ受けます。ただし、配当金を受け取ることができない分だけ、日経平均(現物)よりも不利になります。

今年の日経平均の9月中間決算の予想配当金は、130円です。したがって、現時点で、先物(12月限)の理論値は、日経平均よりも130円低い水準となるわけです。

ところが、9月28日以降は、先物理論値と、日経平均現物価格がほぼ同値となります。9月27日までに日経平均(現物)を買えば、9月中間配当金を受け取る権利が得られますが、権利落ち日の9月28日に日経平均現物を買っても、配当金を受け取る権利は得られないからです。

9月28日から12月9日(先物12月限の精算値計算日)まで、日経平均先物を保有しても、日経平均を保有しても、どちらも9月配当金が得られないという点で、同じになります。したがって、9月28日以降は、両者はほぼ同値で推移することになります。

<参考>日経平均先物(12月限)の理論値の計算方法

詳しい説明は割愛します。計算式だけ掲載します。

(日経平均先物12月限理論値)=(日経平均の値)-(12月8日まで日経平均現物を保有することで得られる配当金予想額)+(日経平均現物を購入するのに必要な現金を12月8日まで短期金融市場で運用した時に得られる利息)

現在、短期金利はほぼゼロなので、金利要因は無視しても大丈夫です。配当落ちは、3月・9月が特に大きいです。6月や12月にもあります。

東京市場の取引時間中は、日経平均先物が理論値から大きくかい離することはありません。かい離すれば、裁定取引が入り、先物は常に理論値の近くに維持されます。ただし、東京市場の現物取引時間が終了すると(15時以降)、日経平均先物は理論値からかい離して動くようになります。裁定取引が入らないので、大引け後のニュースに反応して動くわけです。

今日の説明は、わかりにくくてすみません。最初の赤字で書いた「結論」だけ覚えておいていただきたいと思います。