先週の「ジャンル横断・騰落率」を受けた今週の見通し

 先述のとおり、先週は、穀物、エネルギー、主要株価指数が上昇し、ドルが下落した週でした。穀物とエネルギーは主に個別の材料で動いたと考えられますが、主要株価指数とドルは、米国の金融政策において緩和的な措置の長期化が示されたことで動いたと考えられます。

 金融緩和が主導する“株高・ドル安”という構図は、新型コロナ・ショック後から7月下旬ごろの動きとほぼ同じです。今回の措置により、今後、さらなる株高が期待され、7月下旬で一巡していたドル安が、再び加速しそうな状況になったと言えます。

 しかし、そもそもなぜ、金融緩和をさらに長期化させる事態になったのでしょうか。それは、新型コロナによるマイナスの影響が長期化し、米国経済の回復のためにさらに時間をかけて処置をしなければならないためだと、考えられます。

 一部では、新型コロナ・ショック直後から発生した株高は、“将来への期待”を“今、織り込む”、実態を反映していない株高だ、と言われました。たとえ足元の景気が回復していなくても、将来への期待が存在しさえすれば、それを糧として株価は上昇する、と言っているのです。

 先週のFRB(米連邦準備制度理事会)議長の金融緩和策のさらなる長期化発言は、再び“期待の前借り相場”が始まったことを示唆していると、筆者は考えています。このような状況こそ、数字が示す実態、つまり経済指標を逐一、確認することが重要だと思います。

 今週発表される、主要国の景況感に関わる主な経済指標は、次のとおりです。

 8月31日(月)、日本の7月の鉱工業生産、中国の8月の製造業PMI(購買担当者景気指数)、9月1日(火)、中国の8月のCaixin製造業PMI、ユーロ圏、イギリス、米国の8月の製造業PMI、米国の8月のISM製造業景況指数、2日(水)、米国の8月のADP雇用統計、 3日(木)、フランス、ドイツ、ユーロ圏、イギリス、米国の8月のサービス部門PMI、米国の7月の貿易収支、4日(金)、米国の8月非農業部門雇用者数および8月失業率などです。

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