ハリケーン襲来でエネルギー関連と穀物が上昇
先週は、天然ガス、トウモロコシ、大豆の上昇が目立ちました。メキシコ湾に襲来した大型ハリケーン「ローラ」の影響で、米国における生産量が一時的に減少する見通しとなった天然ガスと原油の価格が上昇しました。
また、もともと豊作が見通されていた米国産のトウモロコシと大豆において、先週まで行われた実地調査の最終報告で、単収(1エーカーあたりの収穫量)が予想を下回るとされました。このことにより豊作観測が減退し、価格が上昇しました。
その他、米国で行われている緩和的な金融政策が、さらに長期化することが示されたことを受け、景気の下支え要因が長く続くとの見方が優勢になり、ナスダック、S&P500、NYダウなどの米国の主要株価指数が上昇しました。
一方、緩和的な金融政策が長期化することが示されたことで、各種主要通貨に対し、ドルの下落が目立ちました(ユーロ/ドル、ポンド/ドルは上昇、ドル/円、ドル/カナダドル、ドル/スイスフランは下落)。
先週は、上昇銘柄数が19(前週は12)、下落銘柄数が6(13)、最大と最小を除く変動率の平均は+1.7%(+0.4%)でした。全体的には、8月21日(金)から28日(金)の週は、 “おおむね強かった”と言えると思います。
※金を含む貴金属価格の今後の動向について、筆者の連載[週刊コモディティマーケット]の本日更新分「金相場、最高値奪還へ?原油相場は45ドル回復へ。追い風は米国から」をご参照ください。
8月21日(金)から 8月28日(金)までのジャンル横断騰落率ランキング
先週の「ジャンル横断・騰落率」を受けた今週の見通し
先述のとおり、先週は、穀物、エネルギー、主要株価指数が上昇し、ドルが下落した週でした。穀物とエネルギーは主に個別の材料で動いたと考えられますが、主要株価指数とドルは、米国の金融政策において緩和的な措置の長期化が示されたことで動いたと考えられます。
金融緩和が主導する“株高・ドル安”という構図は、新型コロナ・ショック後から7月下旬ごろの動きとほぼ同じです。今回の措置により、今後、さらなる株高が期待され、7月下旬で一巡していたドル安が、再び加速しそうな状況になったと言えます。
しかし、そもそもなぜ、金融緩和をさらに長期化させる事態になったのでしょうか。それは、新型コロナによるマイナスの影響が長期化し、米国経済の回復のためにさらに時間をかけて処置をしなければならないためだと、考えられます。
一部では、新型コロナ・ショック直後から発生した株高は、“将来への期待”を“今、織り込む”、実態を反映していない株高だ、と言われました。たとえ足元の景気が回復していなくても、将来への期待が存在しさえすれば、それを糧として株価は上昇する、と言っているのです。
先週のFRB(米連邦準備制度理事会)議長の金融緩和策のさらなる長期化発言は、再び“期待の前借り相場”が始まったことを示唆していると、筆者は考えています。このような状況こそ、数字が示す実態、つまり経済指標を逐一、確認することが重要だと思います。
今週発表される、主要国の景況感に関わる主な経済指標は、次のとおりです。
8月31日(月)、日本の7月の鉱工業生産、中国の8月の製造業PMI(購買担当者景気指数)、9月1日(火)、中国の8月のCaixin製造業PMI、ユーロ圏、イギリス、米国の8月の製造業PMI、米国の8月のISM製造業景況指数、2日(水)、米国の8月のADP雇用統計、 3日(木)、フランス、ドイツ、ユーロ圏、イギリス、米国の8月のサービス部門PMI、米国の7月の貿易収支、4日(金)、米国の8月非農業部門雇用者数および8月失業率などです。
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