人生設計100年のカギは、資産を長持ちさせること

 先ほど紹介した寿命データでは5人に1人の男性が約92歳まで、同じく女性では約96歳まで長生きする見込みです。

 そこで、有効なのが95歳まで生きる前提での資金計画「逆算の資産準備」

 いくら健康に気遣っても寿命は不確かなものですが、お金は確実に準備することが可能です。

 逆算の資産準備ではまず、お金の面から生活期間を3つのステージに区切ります。
収入がある現役時代は、ステージ1「資産形成ができる時代」。

 そして、退職後の60~75歳は、ステージ2「使いながら運用する時代」、75~95歳はステージ3「使う時代」とします。

  ステージ1 ステージ2 ステージ3
年齢 ~60歳 60~75歳 75~95歳
生活状態 資産形成ができる時代 使いながら運用する時代 使う時代
お金の動き 勤労収入+運用 運用+勤労収入+年金、引き出し 引き出し+年金

 ところで、雇用継続が推進されている今、「退職後」を60歳からとすることに、「自分はまだまだ働くつもりだ」と違和感を抱く人がいるかもしれません。しかし、継続雇用となっても、現実には大幅に年収が減少する「退職」に相当する時期を、多くの人は60歳前に迎えています。

 逆算の資産準備でいちばん重要なのは、60~74歳の「ステージ2:使いながら運用する時代」です。なぜなら「資産を引き出しながらも活用する」、あるいは「収入によって資産は引き出さない」ことで、お金を長持ちさせられる期間だから。この時期のお金との向き合い方が、その後の75歳からの「使うだけ」の時期の生活資金に影響するからです。

 また、この時期は年収が減少しつつもまだまだ働くことが可能で、資産運用に関しても判断力は衰えていません。

 ではこれを踏まえて、「逆算の資産準備」を具体的に紹介していきましょう。