★今回の記事「資産運用で人格を磨く(2)増やそうと思わなくなった時に、資産は勝手に増える」のオンライン解説を、9月6日(日)17:00~17:30に行います(参加費無料)。
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資産運用の成功は「やり方」ではなく「心理」で決まる

「増やそうと本当に思わなくなった時に、資産は勝手に増えると言われても、そもそも資産運用って、増やすためにやっているんじゃないの?」と思われる方もいるでしょう。私はセミナーを開催していますが、このことを最初にお伝えすると、「こっちは増やそうと思って来ているのに」となってしまうので、お話しをするとしても、セミナー後にしています。

 セミナーで、一通りお話しをした後であれば、真逆のように見えることが「そういうことか」と共感いただけるようになります。資産運用の構造は「増やそうと思わなくなった時に増える」になっていると、私には見えています。

 中学3年からの自己投資の経験、2000年からは証券マンとして多くのお客様とやり取りをした経験から、資産運用でうまくいくかいかないかは、やり方ではなく、その前段階にある心理で決まっているという考えに至っています。その心理とは、高揚感、欲、妬み、不安、恐れ、恨み、怒りといった“一喜一憂”の心理で、うまくいかない人ほど、この一喜一憂が強く出ているように見えます。

高揚感:「こんなに資産が増えるなんて、すごい!」
欲:「もっと投資をすれば、もっともうけられる!」
妬み:「他の人は資産を増やしているのに、自分は増やせていない。」
不安、恐れ:「大切な生活資金を減らしてしまった。どうしよう。」
恨み、怒り:「資産が減ったのはあの人のせいだ!」

 これまでを振り返ってみて、「自分もそういう思いになったことがある」という方もいるでしょう。

 この一喜一憂の心理が一部でも出てくると、上がれば上がるほど「もっともっと!」とお金を投じていき、下がると怖くて踏み込めない、もしくはさらに下がると思うと売りたくなるという傾向になってきます。結果として、「高いところで買い、低いところで買えない、もしくは売ってしまう」を繰り返して、資産を減らしてしまうのです。

 次のような経験をした方もいるのではないでしょうか? 

 運用を始めた時は、「とりあえず、どのようなものか試してみよう」と慎重に始めて、マーケットが上昇して資産が増えると、「やはり運用したほうがいいな」と思って、置いていた現金をより投資に回していく。実は、これが「高いところを買う」をしているのです。

 また、3月のコロナショックのときに、初めて青ざめた方もいるのではないでしょうか? 資産が減って怖い思いをしたことがない間は、「自分は大丈夫」と思っていますが、許容範囲を超えた下落がやってきたときに、初めて怖い思いをして、「運用なんて、やらなきゃよかった」となるのです。

 この一喜一憂の心理は、「増やそう」と思えば思うほど、もしくは「減らしたくない」と思えば思うほど強く出てきて、結果、運用はうまくいかない方向にいきます。

 これは、営業の仕事における構造に、とてもよく似ています。営業マンがお客様を獲得しようとして、売り込めば売り込むほど、お客様は引いてしまいます。本人は頑張っているのですが、やればやるほどお客様は離れていく。そして、どこかの時点で「あれっ、売り込まないほうがお客様になってくれる」と気付き、売り込むのをやめた結果、お客様ができていきます。

 このように、一見正しいと思えることの真逆に答えがある。この構造に似ていると思っています。