これからも、自分の「老後にX000万円」を考え続けていこう

「老後に2,000万円」というフレーズに価値があったとすれば、「公的年金にプラスαの資産形成をして引退した方が老後はぐっと楽になる」という、早く教えておいてほしい常識が明らかになったことです(引退後に知らされたって遅いのだから!)。

 しかし、2,000万円という数字に踊らされるのは不毛です。それは平均でしかありませんし、平均はブレて「実は老後に1,200万円」になったりもします。

 また数十年後の目標は「2,000万円」に固定されているものではありません。将来のインフレを織り込んだ場合、適宜、上方修正をかけていく必要もあるでしょう(運用で年4~5%くらい稼いでも、インフレが年2~3%ほど続くようなら運用利回りの多くはインフレで相殺されているかもしれない)。

 それでもなお、「自分が老後にいくら欲しいか」を考えておくことは重要です。

 できれば、ギリギリではなく余裕をもってリタイア生活に踏み切って欲しいなと思います。そのためにも「老後に2,000万円」はあくまで、老後資産形成を検討する際のスタートラインと考えたいものです。

 そう考えれば、「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)に入る理由」や「つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)を始める理由」が見えてきます。税制優遇だけが加入を決めるものではないのです。