本日の注目通貨

ドル/円:今週の予想レンジ  104.30円から107.40円

 7月会合分のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録が先週公表されました。内容を強気と評するエコノミストもいますが、米経済に対する全体的なトーンはどちらかというと後ろ向き。とはいえ、追加の金融政策の助けが必要とは感じさせない内容で、これが株式市場を失望させました。

 FOMCは、新しい政策手段としてYCC(イールドカーブ・コントロール)を導入することには否定的。次回9月会合で討議されることはないでしょう。現状フォワードガイダンスが機能しているのに、あえてリスクのある新政策に乗り出す必要はないというわけです。

 YCCは、日銀が物価上昇率目標の達成手段として採用しているのですが、物価政策としての効果なしとの意見が多い。たしかに、YCCが有効なら日銀はとっくに物価目標2%を達成していたはずです。

 それでも、マーケットがYCCに注目したのは理由があります。仮にFRBがYCCを導入して中長期金利の抑制に動けば、金利差の面からマーケットがドル安になると考えられているからです。逆に言えばYCC導入見送りはドル高材料ということになります。ただ、FOMC議事録に失望した株式市場が即座に立ち直ったように、ドル安トレンドが再開する可能性は高いでしょう。

 FRBはインフレが2%近くに達してもすぐに利上げはしないで、しばらく放置してインフレを「育てる」という考えに傾いているようです。低金利時代がその分長く続くと考えられるので、ドルにとってはマイナス材料になります。今週のジャクソンホールの講演で、FRBの新政策のヒントが示されるかもしれません。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成