米雇用、回復続くも、回復力弱い

 8月7日に発表された7月の雇用統計では、非農業者部門の雇用者が6月比、176万3,000人増加しました。失業率は、前月比1.1ポイント低下して10.2%となりました。経済再開にともなって、回復が続いているものの、回復ピッチは鈍くなっています。

米雇用統計・非農業部門雇用者数(前月比):2019年1月~2020年7月

米完全失業率:2014年1月~2020年7月

 非農業部門の雇用者数は、4月に前月比で過去最大の2,078.7万人減少しました。5-7月は増加に転じていますが、3か月合計の増加数は927.9万人で、まだ失った雇用の半分も取り戻していません。しかも回復ピッチは鈍っています。6月の増加479.1万人に対して、7月の増加は176.3万人でした。

 3月に発動したコロナ対策の雇用維持策が期限切れとなり、今後、失業がまた増加に転じないか、警戒が高まっています。7月末には、失業給付を週600ドル加算してきた特例措置が失効しました。延長法案を米議会で審議してきましたが、与野党で合意が得られず、7月末までに成立させることができませんでした。トランプ大統領はこれに対し8月8日、失業給付を週400ドル加算する内容などを含む財政出動を大統領令で発動しました。ただし、この大統領令が、議会の予算編成権に対して越権との見方もあり、すんなり給付が進むか予断を許しません。