膠着が続く日経平均、強弱材料が拮抗
先週の日経平均株価は、1週間で619円上昇し、2万2,329円となりました。先々週、円高(ドル/円が一時1ドル=104円台)を嫌気して急落した日経平均は、先週、ドル/円が1ドル105~106円台に戻ると、すかさず買い戻されました。
日経平均日足:2020年2月3日~8月7日
6月以降、日経平均には膠着感が出つつあります。以下の通り、強弱材料がきっこうしているためです。
強材料
【1】世界景気回復期待
中国・米国・欧州・日本で経済再開を進めることで、世界景気が回復に向かう期待が出ている。4-6月が世界景気の最悪期で、7-9月から回復に向かう見込み。
【2】世界中で財政・金融政策の大判ぶるまい
米国を中心に世界中の政府・中央銀行が、巨額の財政・金融政策の大判ぶるまい。日本銀行は、当面年間12兆円のペースで日本株ETF(上場投資信託)を買い付ける方針を維持。
【3】ワクチン開発
米国・英国・中国で予防ワクチンの開発が、想定よりも早いピッチで進展。日本は、塩野義製薬・アンジェスなどが開発を進めているものの、ワクチン開発では大幅に出遅れている。ただし、米英から供給を受けることで基本合意。米ファイザーから来年6月までに1億2,000万回分(6,000万人分:1人2回の接種が必要となる見込み)、英アストラゼネカからも来年1億2,000万回分(1人1回か2回か未定)、2回ならば6,000万人分)の供給を受けることで基本合意。
弱材料
【1】感染再拡大
経済再開を進める米国・欧州・日本で感染が再び拡大。感染爆発を避けるために、経済活動が一部制約され、結果として経済回復が遅れるリスクも出ている。インド・ブラジル・トルコなどの新興国で、感染が急拡大。
【2】米中対立激化
中国は、海洋進出強化、インドとの国境問題でも積極策。周辺国と摩擦が強まっている。さら に、香港の締め付け強化。
これに対し、米トランプ大統領は対中国強硬姿勢を一段と強めている。8月6日には、中国の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」と対話アプリ「微信(ウィーチャット)」を運営する企業(バイトダンスとテンセント)との取引を45日後から禁止する大統領令に署名。米アップルや米グーグルが両社と取引できなくなれば、事実上、米国から両社のアプリが締め出されることになる。これまでトランプ大統領は、中国通信大手ファーウェイなど通信機器メーカーを米市場から排除してきたが、さらに、通信アプリまで排除を広げる構え。こうして米中による世界経済分断が強まると、コロナが収束しても、世界経済の分断が続く懸念が強まる。
【3】債務問題
世界中で過去に例のない大規模金融緩和をやっている副作用として、債務残高が急拡大している。財務悪化した企業の延命が続き、潜在的なクレジットリスクが高まっている。