なぜ株式市場は悪い経済を無視している?

 これほど経済がひどいのに、なぜ米国株式市場はまるで何事もなかったかのように過去最高値に挑戦しているのでしょうか。

 その理由の一つは米国政府からの経済支援によります。第2四半期の米国のGDPは約4.2兆ドルでしたが、それにほぼ匹敵する景気刺激策が議会の予算、ならびにFRB(米連邦準備制度理事会)からの支援によってもたらされました。つまりGDPの統計には現れていない支援金が、1930年代の大恐慌の二の舞いになることを防いでいるのです。

行き場を失った資金が株式市場を目指す

 新型コロナウイルスは今でも米国にまん延しています。スポーツ・イベントやコンサートもいまだ再開されておらず、旅行も面倒です。デパートで買い物をするのも何となく楽しくありません。

 そんな折、政府からもらった一時金や失業保険上乗せ金をすぐに使ってしまうのではなく、消費者は貯蓄に回しています。

 株式市場がブームになっている一因は、この「行き場のない個人投資家の資金」が株式市場に押し出されてきたからだと説明することができるでしょう。